『大学職員のリアル』の内容を紹介!仕事がわかるおすすめの一冊

大学職員に関する書籍はたまにありますが、情報が古いものが多いです。
そんな中、2023年7月に新書として発刊されたのが『大学職員のリアル 18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』倉部史記著・若林杏樹マンガです。
大学職員の筆者も読んでみましたが、大学業界がわかる志願者必見の1冊だと思いましたので、内容を紹介していきます。
- 『大学職員のリアル』の内容を紹介
- 『大学職員のリアル』を現役国立大学職員が読んだ感想
新書で1000円未満で購入できるため、気軽に手にとってみることをおすすめします。

『大学職員のリアル』の内容
『大学職員のリアル』の著者
『大学職員のリアル』は、2023年7月に初版が発行された大学職員に関する新書の本です。
書いているのは倉部史記さんで、元大学職員で継続的にキャリア支援など大学業界・高等教育に携わっている方です。
マンガを担当しているのが元大学職員で、漫画家の若林杏樹先生です。
『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えて下さい!』という、日本で一番売れた税金本のマンガを担当していることも有名です。
あんじゅ先生として知られ、SNSでも継続的に発信されています。
お二人の元大学職員の経験から、説得力のある大学職員仕事に関する紹介がされていきます。
『大学職員のリアル』の目的
本書の目的は、現在注目されている「大学職員」のリアルな状況を伝えるために書かれたといいます。
- 大学職員は近年人気の職業になっている
- 大学職員は40歳で年収1000万円の楽な仕事という噂
- 上記のような、真偽の怪しい情報・サイトの存在
大学職員は近年人気ですが、過度に高年収・ホワイトという情報が広まっていることを危惧し、インタビュー等を通してリアルな情報を伝えることを目的にしていると言います。
本サイトのような匿名の個人が書いている情報の怪しさについても言及しています。笑
また、大学職員として活躍している例や今後の展望などについても触れており、大学職員を目指す人には間違いなく参考になる一冊になっています。
『大学職員のリアル』の感想

大学職員あるあるが面白い
読んでいて面白いと感じるのは、大学職員あるあるが多いという点です。
インタビューを含めた本書の中で、多くのあるあるに出会います。
- 上の世代は、仕事を増やすことを極端に嫌がる
- 部局独自のルールを覚えるのが大変
- お役所的な規程主義で、例外を作ることによる業務の自己増殖
上記は一例ですが、随所に大学職員あるあるが出てきて、「あるある」と思いながら楽しんで読むことができます。
大学職員でない方にとっては信じられないようなことも、大学では当たり前に行われています。
現役大学職員の方も、面白く読めると思います。
大学職員で知っておくべき用語がわかる
最新の大学業界の事情についても、詳しく紹介されています。
- 教学IR・・・高校時代からのデータを、学生支援に活かす取り組み
- URA・・・大学の研究資源の活用、研究の活性化を目指す専門職
- 大学アドミニストレータ・・・大学経営に関するプロフェッショナル
IRは(Institutional Research)の略で、データを用いた調査研究のことです。
URAは(University Research Administrator)の略です。
いずれも、大学内にいると近年聞くようになった用語です。
データ分析を用いた大学の機能強化が求められており、データ活用や教職連携を行える人材が求められていることがわかります。
大学のホームページなどを見ているとこのような情報に出会うことも多いため、知っておいて損はありません。
また、面接試験の話のネタにもなります。

大学職員の対立がわかる
大学職員の仕事には、様々な2項対立があるように感じています。本書の中でも度々、2項対立に関する紹介があります。
- 専門職(スペシャリスト)と総合職(ゼネラリスト)どちらを目指すか
- 大学本部と部局窓口どちらの仕事が重要か
- 国公立と私立の仕事内容・待遇はどのように違うか
- 教員と職員の仕事内容の違いと教職連携の可能性
- 規程主義と現場主義どちらを重視すべきか
- 異動官職とプロパー職員の待遇の違い
- 利益追求かミッションの実現か
このようなどちらを選択すべきかと考えさせられることが多いです。
結論としては、「どちらも重要」「大学の方針による」ということが多いのですが、大学が抱える課題として上記のような対立があることを知っておくといいでしょう。
大学職員への就職に役立つ
大学業界用語がわかるとともに、これからの職員が持つべき資質についても紹介されているので、就職を考えている方には参考になるでしょう。
各大学の情報はホームページや広報誌で手に入れることができますが、包括的な情報を得られる媒体はほとんどありません。
就職・転職を考えているのであれば、大学業界に関することを幅広く情報収集できるので、読んで見ることをおすすめします。
実際に、大学で働く筆者も知らなかったお役立ち情報がたくさんありました。
- 大学の出身者しか大学職員として採用していない大学がある。
- 大学職員が情報交換できる会合・協会がある。
- 大学アドミニストレーションを学べる大学院がある。
現役職員でも勉強になることが多く、大学職員の仕事への理解を深めることができたと感じています。
大学職員イメージの一般化を危惧しすぎ
『大学職員のリアル』はおすすめの1冊ですが、悪い点として「一般化を危惧しすぎしている」という点が挙げられます。
- 平均年収734万円は現実ではない可能性が高い
- 暇な職場と言われるが、うつになる人も多い
上記のように、一般的に言われている大学職員に関する言説を「必ずしも正しくない」と述べていますが、多くのケースでは「高年収であること」「ホワイトな職場であること」を認めています。
個人的には「どちらとも言えない」という曖昧な立場が多いことが、少し気になりました。

まとめ:大学職員を目指す人に必読の1冊
『大学職員のリアル 18歳人口激減で「人気職」はどうなる』の内容を紹介してきました。
大学職員の仕事・課題・最新事情が知れるためオススメの1冊です。
オススメの理由は以下の点です。
- 2023年7月発行の新しい情報が記載されていること
- 元大学職員が著者で、現役職員へのインタビューも載せられていること
- 年収・仕事内容・将来性・やりがいなど幅広く、大学の仕事がわかること
これだけの情報が1000円未満で手に入るということを考えると、就活生だけでなく現役職員にもオススメできます。
『大学職員のリアル』を読む人が増えて、大学業界が発展していくことを期待しています!

