国立大学職員はやめとけ!将来性がない業界のデメリット

「大学職員はやめとけ!」と言われる理由は、「将来性のなさ」「スキルがつかないこと」などが挙げられます。
実際に、国立大学職員として7年間以上勤務して感じる大学業界のヤバさをお伝えします。
- 将来性が見込めない
- スキルが身につかない
- 年功序列の評価制度
本記事では、実際に大学職員に転職して感じた「大学職員はやめとけ」と言われる理由を解説していきます。
筆者は、大学職員のホワイトな職場環境に魅力を感じているので、やめようと思ったことはありませんが、参考にしてもらえればと思います。

国立大学職員はやめとけと言われる3つの理由

大学職員は人気の職業ですが、「やめとけ」という意見もわかります。実際に、働いていて感じる大学職員のデメリットは以下の3つです。
- 将来性が見込めない
- スキルが身につかない
- 年功序列の評価制度
将来性が見込めない環境
大学業界は、これから成長していく業界ではなく、成熟しきっていて衰退に向かう業界ということができます。様々な理由があります。
- 少子高齢化で18歳人口が減少している
- 日本では、社会人の大学入学が浸透していない
- 国力低下などの影響で外国人留学生も減少傾向
- 優秀な研究者が多く退職している
大学業界の話で明るいニュースはほとんどありません。
働く場所としての「大学」は非常に福利厚生・待遇が良い場所でした。大学教授は年収が高く、自分のやりたい研究ができる満足度が高い仕事として上位にランキングされています。
しかし、近年では大学教授を退職し、民間の研究機関や海外の大学に転職する人も多いです。最先端の研究環境を求めると、研究費が減り続ける日本の大学に籍を置き続けるべきではないと優秀な研究者は考えています。
大学のセールスポイントである「研究力・教育力」が衰退すれば、大学の受験者数や収益も低下します。
首都圏の私立大学や国立大学に大きな影響が出てくるのはまだ時間がかかると思いますが、将来性が危うい「斜陽産業」ということは理解しておいたほうがいいでしょう。
今後、待遇が悪くなる可能性も大いにあります。
スキルが身につかない職場環境
大学職員はスキルが身につきづらい仕事です。事務職員の仕事はマニュアルに沿った仕事で「総務・人事」「財務・会計」「学務・教務」のいずれかの配属が8割以上です。
それぞれの分野で多少の専門性はありますが、転職市場でアピールできるほどの専門性ではありません。
優秀なビジネスパーソンは、他社でも使える専門性を身に着けて、スキルアップしていきますが、大学の事務職員には難しいです。
- 総務・人事・・・大学内の人事規程に詳しくなるだけ
- 財務・会計・・・簿記知識、経理知識はつくが大学の業務に限定した知識のみ
- 学務・教務・・・語学力などはつきますが、ビジネススキルと言えるほどではない
公的機関という性質から、利益をあげるためのスキルは付きづらいです。「無難な事務職はやめて、自分で稼げるスキルをつけたい」と思う気持ちはわかります。
「営業力」「マーケティング力」「技術力」などのスキルをつけたい方は、大学職員はやめておいたほうがいいでしょう。
実際に、大学職員の退職事例・理由は以下の記事で紹介しています。

年功序列の評価制度
大学の多くが旧来からの「年功序列の評価制度」を採り入れています。
優秀な職員が出世していくのではなく、年齢・経験に応じて給与が決まるケースが多いです。
優秀で意欲のある職員にとっては「割に合わない仕事」と感じることが多いでしょう。
特に、国立大学職員は国家公務員の給与体系を踏襲しており、実績で評価されることはほとんどありません。
50歳を過ぎたパソコンをまともに使えない窓際職員が、自分の倍近い給料をもらっているということもあります。
公務員との比較については以下の記事で紹介しています。

国立大学職員の将来性は?いつまで大丈夫?

国立大学職員の将来性について、現場で働いて感じることを2つの視点から紹介します。
AIの普及による将来性の不安
2020年代以降、一般人が使えるAIが増え注目を浴びています。
AIに仕事を取られる仕事の代表的なものとして「事務職」が挙げられます。
実際に、書類作成やデータの取りまとめなどはAI普及の影響を受けざるを得ないでしょう。
公務員の仕事と比較されることがありますが、大学職員のほうがAIに仕事を取られる可能性は高いと考えています。
- 大学職員・・・教員が学生サービスを行えるため、職員の必要性は薄い
- 公務員・・・・単純な事務仕事以外にも福祉事業・災害対応・観光など人の力が必要な分野は多い
これから大学職員として働く場合には、「大学職員をやめても働けるスキル」を身につけることは必須になるでしょう。
10年程度は大きな変化はないと思いますが、「人口減少」「AI普及」という2つの脅威がある点は理解しておくべきです。

公的研究・医療の社会的意義
大学職員の将来性に不安を感じた方もいると思いますが、民間企業にはない社会的意義が大学にあることも現場では感じることができます。
- 利益追求の民間企業ではできない基礎研究を行える
- 学生が減っても、附属病院での収入は安定している
コストパフォーマンスが悪くて民間企業では行えない研究を大学では行えます。
地道な研究が大きな成果を生み出すこともある以上、公的研究は必要とされ続けるでしょう。
また、医療分野は今後もマンパワーが必要な業界なので、附属病院に大学職員が多く送り込まれるということもあるかもしれません。
「ホワイト職場だから安心」と思うのは危険ですが、大学将来性について過度に心配する必要もないように思います。

国立大学と私立大学の将来性に違いはある?
「国立大学職員はやめとけ」という意見の中に、「私立大学のほうが待遇がいい」という意見があります。
確かに、公務員に近い待遇の国立大学職員に比べて、私立大学職員の方が年収が高い傾向にあります。
- 国立大学職員・・・元国家公務員、国立大学法人として独立行政法人が運営
- 私立大学職員・・・民間の学校法人が運営し、教育・研究に特色がある
年収を始めとした待遇・福利厚生では、私立大学職員の方が人気がありますが、学生数減少・授業料収入減少の影響を受けやすいのも私立大学です。
実際に、東京都にある恵泉女学園大学は2024年以降の学生募集停止を発表しています。
年収が高いからと安心せずに、学生数減少などの影響を受けていないか、自身で確認することも必要です。

まとめ:大学職員に将来性・スキルは期待できない
国立大学職員はやめとけと言われる理由について紹介してきました。
将来性や習得できるスキルを考えると「やめとけ!」という意見にも納得できます。スキルをつけて、将来性のある業界で働きたいと考えている人には大学職員の仕事は向いていません。

一方で、民間企業から転職した筆者にとっては、非常に心地のいい職場です。
- ノルマがなく、仕事が比較的楽
- 頑張りすぎないでも給与が上がる安定した仕事
- 体調を崩すような、パワハラ上司がいない
ある程度、仕事内容について割り切って考えることができれば非常にいい仕事です。
「やりがい」だけが仕事に求めることではないと思いますので、仕事に重視することが「安定」「楽な仕事」という人は是非、大学職員への転職も検討してみるといいでしょう。

