国立大学法人は統一採用試験・独自採用試験どっちが採用されやすい?

国立大学法人採用試験は、従来型の統一採用試験と独自採用試験に分かれています。
本記事では、現役国立大学職員が統一・独自どちらの試験が採用されやすいかを解説します。
- 統一採用試験は、筆記で足切りがあり30歳までの年齢制限
- 独自採用試験は、100倍に迫ることもある難易度の高い試験
- 志望大学の最新の募集条件はこまめにチェックが必要
よくある統一採用試験と独自採用試験に関するQ&Aも用意していますので、ぜひ参考にしてください。

国立大学法人の統一採用試験と独自採用試験の違い
統一採用試験と独自採用試験の違いは、以下の表のとおりです。
項目 | 統一採用試験 | 独自採用試験 |
---|---|---|
受験対象者 | 30歳まで | 各大学による |
筆記試験 | 教養試験(倍率2倍以上) | 適性試験程度で、課さない大学もある |
書類審査 | 原則なし | 厳正な審査が有 |
倍率 | 20~30倍程度 | 50倍以上の高倍率 |
難易度 | 教養試験が難、面接試験は比較的楽 | 特別な経歴がないと難しい |
求める人材 | 新卒・第二新卒がメイン | 社会人経験を大学運営に活かせる人材 |
特徴 | 従来型(筆記+面接)の採用試験 | 多様な能力を持つ人材を選抜する試験 |
オススメする人 | 30歳までの人 | アピールできる社会人経験がある人 |
統一採用試験と独自採用試験の主な違いを項目別に紹介していきます。独自採用試験は、「社会人採用」と呼ばれていることもあります。
受験対象者(年齢)の違い
- 統一採用試験・・・30歳までの年齢制限があり
- 独自採用試験・・・大学により異なり、年齢制限を設けていないケースもある
統一採用試験は公務員試験に準じており、30歳までしか受験ができない試験です。長期的なキャリア形成などが理由で年齢制限があります。
独自採用試験では、多様な人材を採用することを目的にしているため、年齢制限を設けていなかったり、「40歳まで」「3年以上の社会人経験」などの条件を設けていることもあります。
独自採用試験によって年齢に関係なく国立大学職員になるチャンスが拡がりました。
数年前の独自採用試験がない時は、30代以上になると非常勤職員からの常勤登用を狙うくらいしか選択肢がありませんでした。
関連記事:大学職員は契約社員から正社員登用が狙い目!正規採用は狭き門
試験内容の違い
- 統一採用試験・・・国立大学の地区ごとに共通の教養試験
- 独自採用試験・・・大学により異なるが、筆記試験は重視されないことが多い
統一採用試験では、公務員試験に準じた教養試験(筆記試験)が行われ、教養試験に合格しないと各大学が行う面接試験に進むことができません。
事務の筆記試験の採用倍率は2倍以上で、合格には半年以上の勉強が必要と言われています。
独自採用試験の内容は各大学が定めていますが、多くが筆記試験を重視せずに、経歴や面接試験を重視した選考になっています。
関連記事:国立大学法人職員の筆記試験対策の勉強時間は?教養試験のボーダーは6~7割
倍率・難易度の違い
- 統一採用試験・・・筆記試験を含めて倍率は20~30倍ほど
- 独自採用試験・・・50倍~100倍に迫ることもある高倍率
統一採用試験の合格には筆記試験の勉強が必要なことが知られているため、受験者数が多くはありません。
独自採用試験では、年齢制限が緩く、長時間の勉強が必要な筆記試験がないため、応募が多くなります。
安定したイメージのある首都圏の国立大学には、数名の採用に400~500名の応募があるような状況です。
筆記試験だけの難易度で言えば、統一採用試験のほうが難しいですが、採用の難易度で言えば、独自採用試験のほうが難しいといえます。
関連記事:大学職員の倍率・難易度は高い?私立・国立の違いと難易度ランキング
求める人材の違い
- 統一採用試験・・・ポテンシャル採用(若さ、将来性重視)
- 独自採用試験・・・プロフェッショナル採用(社会人経験、即戦力重視)
統一採用試験による採用では、20代の若手を採用して、大学運営に貢献できる職員を育てることを目的にしています。
統一採用試験はポテンシャル採用と考えられており、能力が劣っていても、やる気や協調性もアピールポイントに入ります。
一方で、独自採用試験による採用で求められるのは、大学の課題を解決できる即戦力です。
独自採用試験はプロフェッショナル採用と考えられており、配属先の部署を含め、どのように活躍できるかを明確にイメージした上で採用されるケースが多いです。
関連記事:大学職員の激務部署・楽な部署・出世におすすめの部署を紹介
統一採用試験と独自採用試験どっちが採用されやすい?

実際に、統一採用試験と独自採用試験ではどちらが採用されやすいのでしょうか?
もちろん受験者の年齢や能力によりますが、採用の難易度は独自採用試験のほうが高いといえます。独自採用試験では、プロフェッショナルとしてアピールできる能力が必要だからです。
まだ20代で統一採用試験を受けられるチャンスがある方は、勉強をして統一採用試験での合格を目指すことをオススメします。
通信講座などを使って時間をかけて対策すれば、一次の教養試験は突破できます。

おすすめは統一採用試験ですが、受験大学がどちらを採用しているかを確認しましょう(統一と独自を併用の大学が多い)。
数年前までは、全大学で8割以上の採用が統一採用試験でしたが、近年では独自採用試験のみの採用としている大学もあります。大学ごとの採用の最新情報はこまめにチェックが必要です。
関連記事:国立大学法人で受かりやすい穴場はどこ?難易度ランキングも解説
統一採用試験と独自採用試験に関するQ&A
統一採用試験と独自採用試験に関するよくある質問を紹介します。
統一採用試験・独自採用試験が行われる時期は?
統一採用試験(筆記試験)は毎年7月に行われ、合格者は8月に各大学の面接試験を受けます。独自採用試験は6~11月に行っている大学が多いです。
独自採用試験の時期は大学が定めていますが、大学の閑散期である夏~秋に行い、10月以降に採用するケースが多いです。
独自採用試験が増えているのはなぜ?
毎年、独自採用試験の導入・独自採用試験採用枠の増加が各国立大学で行われています。独自採用試験採用の増加は、多様な人材受入を推進する国の方針が影響しています。
- 雇用の流動化
- 新卒一括採用からの脱却
- 多様な人材の受け入れ
公務員でも同様の傾向が進んでおり、筆記試験なしでの社会人採用を行う自治体が増えています。
社会人採用を行っている自治体を、募集年齢とともにまとめているのが資格学校クレアールの「公務員転職ハンドブック」です。興味のある方は、以下の記事を読んでみてください。

統一採用試験がなくなることはない?
筆記試験の統一試験採用の比率は落ちてきてはいますが、なくなることはないと考えています。
【統一採用試験がなくならない理由】
- 国立大学の運営には多額の税金が投入されている
- 独自採用試験のみでは、癒着・斡旋などによる採用が横行する懸念がある
- 統一採用試験は、筆記の点数で足切りがあるため、面接よりは公平性がある
現時点では統一採用試験や国家公務員試験に合格して、国立大学職員として勤務している職員が大半です。
面接官を行う現役職員の心情的にも、筆記試験で足切りすべきという意見は残り続けるでしょう。
統一採用試験・独自採用試験では学歴は重視されない?
学歴は、どちらの採用試験でも重要な判断材料となっていると感じます。学歴は簡単にその人のおおよその能力を判断できる要素となるからです。
人物重視の選考と言っても、そのスキル・コミュニケーション能力を培った土台である学歴はどうしても考慮されてしまいます。
公的な発表では「学歴不問」と言われますが、学歴が高いほうが有利ということは間違いないでしょう。

統一採用試験・独自採用試験の同時受験は可能?
統一採用試験と独自採用試験は同時受験可能としている大学が多いです(大学ごとの応募要項もご確認下さい)。
しかし、同時受験したからといって採用される確率があがるとは限りません。
一度、書類選考や面接試験で不合格にした受験者を採用するのには抵抗があります。
統一採用試験の筆記試験での不合格は、大学にとっては知り得ないので、その後独自採用試験に応募するのは問題ありません。
まとめ:30歳未満なら統一試験、それ以上なら独自試験
統一採用試験と独自採用試験の違いについて紹介してきました。
項目 | 統一採用試験 | 独自採用試験 |
---|---|---|
受験対象者 | 30歳まで | 各大学による |
筆記試験 | 教養試験(倍率2倍以上) | 適性試験程度で、課さない大学もある |
書類審査 | 原則なし | 厳正な審査が有 |
倍率 | 20~30倍程度 | 50倍以上の高倍率 |
難易度 | 教養試験が難、面接試験は比較的楽 | 特別な経歴がないと難しい |
求める人材 | 新卒・第二新卒がメイン | 社会人経験を大学運営に活かせる人材 |
特徴 | 従来型の採用試験 | 多様な能力を持つ人材を選抜する試験 |
オススメする人 | 30歳までの人 | アピールできる社会人経験がある人 |
誰でも受験しやすい独自採用試験は受験生にとっては魅力的ですが、統一採用試験のほうが面接試験を突破しやすいです。
30歳未満であれば、統一採用試験に挑戦するのがオススメです。筆記試験に合格してしまえば、複数の国立大学や関係機関にエントリーでき、面接の経験を重ねることもできます。
30歳未満で統一採用試験の筆記対策を行う方は以下の記事でおすすめの参考書を紹介しています。

30歳以上の方は独自採用試験しか選択肢がありません。挑戦する方は、国立大学法人と併せて公務員試験の社会人採用も視野に入れるのがオススメです。
公務員も社会人採用を増やしており、『公務員転職ハンドブック』という冊子で社会人採用を実施している市役所の一覧を確認することができます。
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