国立大学法人の独自採用試験とは?倍率や採用のコツを現役職員が解説
近年、国立大学法人では独自採用試験での採用者を増やしています。
数年前までは、各地区で行われる統一の教養試験に合格しないと各大学の面接試験に進めませんでしたが、筆記試験を課さない独自試験が増えてきました。
- 国立大学法人の独自採用試験の内容を紹介
- 独自採用試験の倍率は50~100倍になることもある
- 独自採用が増えた背景と、採用のためのコツを解説
現役国立大学職員が、独自採用試験の内容や採用のコツを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
国立大学法人の独自採用試験とは?
国立大学法人の独自採用試験とは、共通の筆記試験を行わずに独自の選考で行う採用試験をいいます。
国立大学法人職員になるには主に2つの方法があります。
- 統一採用試験・・・各地区ごとに共通の筆記試験が行われ、合格者が各大学の面接試験に進む
- 独自採用試験・・・共通の試験を行わず、各大学が定めた選考フローが行われる
独自採用試験の最大の特徴は、共通の筆記試験を受けずに国立大学職員になれるという点です。
みなし公務員である国立大学職員は、最低でも半年間の勉強が必要な筆記試験対策が1つのハードルになっていました。その筆記試験が不要で、国立大学職員になれるため、近年では注目を集めています。
2023年には、東京大学が独自試験での事務職員採用者を60名程度と発表したことが話題になりました。
東京大学では、基礎能力テスト・適性テストが行われますが、全く筆記試験を行わない独自採用試験を行う大学もあります。
筆記試験に自信がない、筆記試験の対策をする時間がないという人にも受験のチャンスが広がりました。
国立大学法人の独自採用試験の倍率・受験者
筆者が勤める国立大学でも独自採用試験を開始しており、その内情を紹介します。
独自採用試験の倍率は50~100倍
関東圏の大学の独自採用試験では若干名の募集に、500名以上の応募があったといいます。
私が聞いた話では、内定数が7名で500名以上の応募ですから、70倍以上の採用倍率です。
採用倍率が高くなる理由は主に以下の4点です。
採用担当の友人に聞いたところ、全員を面接することはできないため、書類選考で10分の1くらいまで絞ると話していました。
独自採用試験の受験者
独自採用試験の受験者は様々で、年齢・資格に制限を設けないといろんな人が応募してきます。
- フリーターなどで正社員になりたい人
- 子育てで離職していたが正社員として働き直したい主婦
- ブルーカラーからホワイトカラーへの転職希望者
残念ながら、上記のような人は書類選考で落とされてしまう可能性が高いです。一方で書類選考を突破できるのは以下のような人です。
- 高学歴
- 有名企業からの転職者
- 公務員や大学での業務経験がある
- 語学や法律系の資格がある
多くの人が応募できますが、筆記試験がないぶん書類選考で不合格となってしまう人が多くいます。
国立大学法人の独自採用試験合格のコツ
これから独自採用試験の受験を考えている方に、採用されるためのコツを紹介します。
【独自採用試験合格のコツ】
- 書類選考を突破する経歴
- 新卒採用にはない社会人経験
- 謙虚な姿勢
- 転職サイト・転職エージェントで情報収集
書類選考を突破する経歴
特別な応募条件を課さない独自採用試験では、厳正な書類選考があると思ったほうがいいです。
書類作成に力を入れるのは当然として、アピールできる経歴がない場合、面接試験に進むのは難しいかもしれません。
3大学応募して、3大学とも書類選考で不合格となったのであれば、経歴不足と考えるしかないと思います。
学歴・職歴・資格で足切りがあることは、理解しておく必要があるでしょう。
また、抜群の経歴があっても、全く馴染みのない地域の大学を受験する場合は、志望度が低いとみなされて不合格になることもあります。
新卒採用にはない社会人経験
独自採用試験では、新卒採用者にはない社会人経験を求めているケースがほとんどです。
社会人経験で得たスキルと、大学職員としての仕事にどう活かせるのかは必ず質問されるポイントなので、深掘りして考えておくといいでしょう。
特に、大学に関係のない業種を経験している場合、大学職員の面接では効果的ではない自己PRをしている受験者が多い印象があります。
大学職員として勤務する人にアドバイスをもらうなど、自己PRを精査していくといいでしょう。
謙虚な姿勢
抜群の経歴があり、面接の受け答えもしっかりしている受験者でも不合格になることがあります。不合格になるのは、「謙虚さ」が足りないと感じられる時です。
大学の制度上、社会人経験がある採用者も数年は一般職員(新人)として、低い給与で働くケースが多いです。
年下の仕事のできない先輩が自分より年収が高いということもザラにあり、状況に納得ができず早々に退職してしまう人もいます。
納得いかないような状況でも、仕事を続ける謙虚さがなく、自信満々の受験者は「すぐに辞めてしまうかも」という理由で、採用内定を避けられてしまいます。
転職サイト・転職エージェントで情報収集
受験したい国立大学が限られている場合は、大学の採用ページで情報収集するのもいいですが、様々な大学の情報を収集して比較したほうが良いエントリーシートが仕上がります。
効率的に情報収集するには、転職サイト・転職エージェントを利用し、複数の大学にエントリーするのがオススメです。
転職サイト・転職エージェントに登録すれば志望大学に限らず、大学業界の情報収集ができます。
私立大学の求人が見つかり、面接の練習もできるので、ぜひ利用しておきましょう。
転職サイトの登録は、マイナビ転職・リクナビNEXT・リクルートエージェント・dodaの4社がおすすめです。
以下の記事でも詳しく紹介しています。
まとめ:筆記試験なしでみなし公務員になれる!
国立大学法人の独自採用試験について紹介してきました。
- 多様な人材を求めて、国立大学職員の独自採用試験が増えている
- 筆記試験なしで国立大学職員になれるチャンスがある
- 筆記試験が重視されない分、書類選考の倍率は高い
- 採用には、職務経歴・資格を生かしたアピールが必須
筆記試験での足切りがないため多くの人にチャンスがあるので、各大学の独自採用試験情報を探してみるのがいいでしょう。
独自採用試験の情報は毎年12月頃に発売される『国立大学法人等職員採用試験攻略ブック』にもまとめられています。
筆記試験の勉強に時間がとれて、年齢も20代であれば統一採用試験のほうが採用倍率は低いです。
筆記試験対策の方法は以下の記事で詳しく紹介しています。
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