国立大学法人の独自採用試験とは?倍率や採用のコツを現役職員が解説

近年、国立大学法人では独自採用試験での採用者を増やしています。
数年前までは、各地区で行われる統一の教養試験に合格しないと各大学の面接試験に進めませんでしたが、筆記試験を課さない独自試験が増えてきました。
- 国立大学法人の独自採用試験の内容・倍率を紹介
- 独自採用が増えた背景と、採用のためのコツを紹介
現役国立大学職員が、独自採用試験の内容や採用のコツを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

国立大学法人の独自採用試験とは?

国立大学法人の独自採用試験とは、共通の筆記試験を行わずに採用を行う選考のことをいいます。
国立大学法人職員になるには主に2つの方法があります。
- 統一採用試験・・・各地区ごとに共通の筆記試験が行われ、合格者が各大学の面接試験に進む
- 独自採用試験・・・共通の試験を行わず、各大学が定めた選考フローが行われる
独自採用試験の最大の特徴は、共通の筆記試験を受けずに国立大学職員になれるという点です。
みなし公務員である国立大学職員は、最低でも半年間の勉強が必要な筆記試験対策が1つのハードルになっていました。
その筆記試験が不要で、国立大学職員になれるため、近年では注目を集めています。
2023年には、東京大学が独自試験での事務職員採用者を60名程度と発表したことが話題になりました。
東京大学では、基礎能力テスト・適性テストが行われますが、全く筆記試験を行わない独自採用試験を行う大学もあります。
筆記試験に自信がない、筆記試験の対策をする時間がないという人にも受験のチャンスが広がりました。

国立大学法人の独自採用試験の倍率・受験者

筆者が勤める国立大学でも独自採用試験を開始しており、その内情を紹介します。
独自採用試験の倍率は100倍近くになることも
独自採用試験の採用倍率は100倍近くに迫ったと耳にしました(噂ですが)。
若干名の募集に、500名以上の応募があったといいます。
内定数は7名程度で500名以上の応募ですから、とても高い採用倍率になります。
採用倍率が高くなる理由は主に以下の4点です。
採用担当の友人に聞いたところ、全員を面接することはできないため、書類選考で10分の1くらいまで絞ると話していました。
独自採用試験の受験者
独自採用試験の受験者は様々です。特に年齢・資格に制限を設けないといろんな人が応募してきます。
- フリーターなどで正社員になりたい人
- 子育てで離職していたが正社員として働き直したい主婦
- ブルーカラーからホワイトカラーへの転職希望者
残念ながら、上記のような人は書類選考で落とされてしまう可能性が高いです。志望理由なども見られない可能性が高いです。
一方で書類選考を突破できるのは以下のような人です。
- 中堅大学以上の学歴がある
- 公務員や大学での業務経験がある
- 民間企業からの転職者でも、語学や法律系の資格がある
多くの人が応募できますが、筆記試験がないぶん、書類選考で不合格となってしまう人も多くいます。

国立大学法人の独自採用試験合格のコツ
これから独自採用試験の受験を考えている方に、採用されるためのコツを紹介します。
【独自採用試験合格のコツ】
- 書類選考を突破する経歴
- 新卒採用にはない社会人経験
- 謙虚な姿勢
- 転職サイト・転職エージェントで情報収集
書類選考を突破する経歴
特別な応募条件を課さない独自採用試験では、厳正な書類選考があると思ったほうがいいです。
書類作成に力を入れるのは当然として、アピールできる経歴がない場合、面接試験に進むのは難しいかもしれません。
3大学応募して、3大学とも書類選考で不合格となったのであれば、経歴不足と考えるしかないと思います。
学歴・職歴・資格で足切りがあることは、理解しておく必要があります。
また、抜群の経歴があっても、全く馴染みのない地域の大学を受験する場合は、志望度が低いとみなされて不合格になることもあります。
新卒採用にはない社会人経験
独自採用試験では、新卒採用者にはない社会人経験を求めているケースがほとんどです。
社会人経験で得たスキルと、大学職員としての仕事にどう活かせるのかは必ず質問されるポイントなので、深掘りして考えておくといいでしょう。
特に、大学に関係のない業種を経験している場合、説得力がない自己PRをしている受験者が多い印象があります。
大学職員として勤務する人にアドバイスをもらうなど、自己PRを精査していくといいでしょう。

謙虚な姿勢
抜群の経歴があり、面接の受け答えもしっかりしている受験者でも不合格になることがあります。
不合格になるのは、「謙虚さ」が足りないと感じられる時です。
大学の制度上、社会人経験がある採用者も数年は一般職員として、低い給与で働くケースが多いです。
年下の仕事のできない先輩が自分より年収が高いということもザラにあります。
こんな状況に納得ができず早々に退職してしまう人もいます。
納得いかないような状況でも、仕事を続ける謙虚さがなく、自信満々の受験者は「すぐに辞めてしまうかも」という理由で、採用内定を避けられてしまいます。

転職サイト・転職エージェントで情報収集
受験したい国立大学が限られている場合は、頻繁に大学の採用ページで情報収集するのもいいですが、効率が悪いです。
効率的に情報収集するには、転職サイト・転職エージェントの利用がオススメです。
転職サイト・転職エージェントに登録すれば志望大学に限らず、大学業界の情報収集ができます。
私立大学の求人が見つかったり、面接の練習もできたりするので、ぜひ利用しておきましょう。
大学職員への転職にオススメの転職サイト・転職エージェントは以下の記事で紹介しています。

まとめ:筆記試験なしでみなし公務員になれる
国立大学法人の独自採用試験について紹介してきました。
- 多様な人材を求めて、国立大学職員の独自採用試験が増えている
- 筆記試験なしで国立大学職員になれるチャンスがある
- 筆記試験が重視されない分、書類選考の倍率は高い
- 採用には、職務経歴・資格を生かしたアピールが必須
すでに筆記試験の勉強を始めている人でも、多くの大学で独自採用試験との併願が可能です。
併願も含めて、受験を検討してみてはいかがでしょうか。
筆記試験が重視されない分、面接試験に向けた情報収集はかかせません。
本サイトでは、転職経験者へのインタビュー記事や大学職員の仕事内容について紹介しているので、是非参考にしていただければと思います。

また、公務員を含めて公的機関への転職には「公務員転職ハンドブック」に有益な情報がもりだくさんです。
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