国立大学法人職員の平均年収は低い?30歳の給与月額・ボーナスを公開!
- 国立大学法人職員の平均年収が知りたい
- 国立大学職員の年収が低いって本当?
- 公務員や私立大学との年収の差は?
大学職員に就職・転職を考えている方は平均年収が気になりますよね。
現役国立大学職員である筆者の30歳の頃の給与月額・賞与額を公開しながら、大学職員の年収についてお伝えします。
- 30歳の年収は500万円程度(※関東圏国立大学、勤続5年の30歳独身の額面金額)
- 国立大学の年収は平均的。低くはないが、私立大学ほど高くもない
- 年収アップを狙うなら昇進よりも、私立大学・公務員への転職が現実的
全国の国立大学の平均年齢・平均年収や関係職種の年収のデータについても紹介していきますので、参考にして下さい。
30歳国立大学法人職員の年収は500万円程度
関東在住独身、30歳国立大学職員の平均年収は500万円程度です。内訳についても紹介します。
実際に、東京大学が公表している事務職員は平均年齢45.2歳で、平均年収が689万3千円です。昇給のペースを考えると、30歳では500万円程度が平均になると思われます(参考:令和4年度財務情報(東京大学))。
東京大学は後述する「地域手当」の影響で、平均年収がやや高くなっています。東京大学と琉球大学(沖縄県)では30歳という同じ年齢でも、50万円以上年収に差が出ます。
また、文部科学省が毎年「文部科学省所管独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準」を公表しています。
令和4年度の国立大学事務・技術職員の平均年間給与は596万8千円です(平均年齢は公開されていません)。
平均給与月額は33万円(関東・独身・賃貸住まい)
給与月額33万円の内訳は以下のとおりです。家族構成や持ち家の有無でも変わります。
- 基本給 24万円
- 地域手当 3万円
- 住居手当 3万円
- 通勤手当 1万円
- 残業手当 2万円
基本給は24万円とやや低めですが、各種手当が充実しています。
国立大学職員は、かつては国家公務員であったため、国家公務員に似た給与体系が適用されています。
「俸給表(ほうきゅうひょう)」(以下の表を参考)という経歴に応じて基本給が決まる表が定められており、俸給表に応じて「基本給」が決まります。基本給は毎年、規程に基づいて昇給します。
住居手当・通勤手当・残業手当・扶養手当は一般企業にあるようなものです。
- 住居手当は、住居を賃貸している場合に支給される費用で、月額3万円ほど。
- 通勤手当は、職場に通うための交通費で、定期代を毎月分に換算して支給。
- 残業手当は、10〜15時間程度の残業で、2万円ほど。
- 扶養手当は扶養家族がいる場合、1人につき1万円ほど(筆者の場合はなし)。
- 地域手当が3万円ほど(詳細は以下の通り)
【参考】
地域手当とは、全国の給与水準に合わせて基本給に追加して支払われている給与のことです。東京都の企業の平均年収と沖縄県の企業の平均年収が異なるように、東京都の公務員と沖縄県の公務員で給与水準が異なります。
この場合、東京都と沖縄県で基本給は変わらず、地域手当で東京都の職員の給与を増額しています。地域手当がなく、東京都と沖縄県で給与が一緒だと、東京都での公務員の働き手がいなくなってしまうという考えからです。
例:東京大学の職員 地域手当率:20%
:琉球大学の職員 地域手当率: 0%
基本給:24万円 地域手当(東京大学):4万8千円
地域手当率が東京大学20%、琉球大学が0%と考えると、同じ基本給でも東京大学の月給が48,000円高くなります。
年収でいうと、年間で50万円〜60万円差があります。
地域手当から、都心の国立大学のほうが年収は高くなります。
国立大学職員の昇給については以下の記事で紹介しています。
関連記事:国立大学職員の昇給額は年5,000円〜1万円!教員と私立大学の賃上げも併せて解説
ボーナス(賞与額)は半年で48万円
ボーナス(=賞与)は半年で48万円ほどでした。内訳は期末手当と勤勉手当に分かれ、良い査定だと勤勉手当が数万円上がります。
ボーナスは年に2回ありますので、合わせて100万円程度になります。
基本給が24万円ですので、年間でおおよそ4ヶ月分のボーナスが支給されると考えればいいでしょう。
インセンティブ給与などはないため、査定が良くても悪くても賞与額はあまり変わりません。
給与と賞与を合わせるとおおよその年収が500万円ほどになります。国立大学のある地域や扶養家族の有無、住居手当や通勤手当で年間50万円程度は変わりますので、あくまで平均値ということになります。
各国立大学法人の平均年収
国立大学法人の多くは「役職員の報酬・給与」を公表しています。筆者が調べた時点で、情報を公開している大学の平均年収を記載します。
公表情報からわかる情報は以下の通りです。
- 教員・職員ともに首都圏ほど年収が高く、地方だと低くなる
- 教員:首都圏だったら1000万円超えもあり、地方だと800万円台
- 職員:教員ほどは首都圏と地方で差がでない
- 役職員の給与情報の公開フォーマットは全大学共通
【東海国立大学機構(名古屋大学・岐阜大学)】
教員 平均年齢:53.1歳 平均年収:999万7千円
職員 平均年齢:42.8歳 平均年収:614万2千円
自分の志望する大学の情報がない場合は、以下の文部科学省のサイトから確認することもできます。
関連記事:国立大学法人で受かりやすい穴場はどこ?難易度ランキングも解説
国立大学の年収が低いと言われる理由
首都圏で30歳の年収500万円ほどなので、日本の平均から考えると年収が低い水準とは思いませんが、年収が低いという意見があることも理解できます。
元国家公務員なのに年収が低い
国立大学は平成16年に法人化し、教職員が国家公務員ではなくなりました。現在では、みなし公務員と言われます。
全国転勤がある国家公務員一般職であれば、同年代で年収が100~200万円ほどは高いでしょう。
公務員試験と同じような筆記試験の勉強をして、面接試験を突破しているのに年収が低いと感じる人はいるでしょう。同地域の県庁や市役所と比べても年収が低いケースが多いです。
文部科学省では国立大学法人等の給与水準を取りまとめて公表しています。
国立大学法人及び大学共同利用機関法人の役職員の給与等の水準(令和 4 年度)の取りまとめ
こちらによると教員の平均年収は915万1千円、職員の平均年収は596万8千円となっており、対国家公務員指数は86.7です。
対国家公務員指数86.7というのは、同年代の国家公務員の年収に対して国立大学法人等の平均給与が86.7%だということを表しています。
関連記事:国立大学法人職員の試験対策!筆記試験の勉強時間は6ヶ月が目安
私立大学の年収が高い
大学業界でみると、私立大学職員は高年収の職業と知られています。
少し前の情報ですが、国立大学と私立大学の平均年収は大きく違います。
- 私立大学・・・平均年収734万円
- 国立大学・・・平均年収596万円
平均年収で100万円以上離れているのに、業務内容はあまり変わらないと言われています。
私立大学との比較から国立大学の年収が低いと感じている人は多いです。
関連記事:【大学職員】私立・公立・国立 それぞれのメリット・デメリット
国立大学法人で年収を上げるには?
国立大学法人の平均的な給与で満足できないという方は以下の選択肢が考えられます。
出世・昇進を目指す
国立大学職員にも出世競争はあり、優秀な人から出世・昇進していきます。
仕事で成果を出して、早期昇進を目指すといいでしょう。
しかし、地方の大学では部長まで昇進しても年収1000万円に届かないこともあります。
また、民間企業に比べると出世しても給与に大きな差は出ないことを理解しておきましょう。年功序列の給与体系が根強く残っているのが国立大学です。
私立大学職員に転職する
現実的な年収アップの手段として考えられるのが私立大学職員への転職です。
私立大学職員をおすすめするのは以下のような理由からです。
- 国立大学職員の業務経験が活かせる
- 私立大学職員は30代で年収1000万円を越えることもある高年収職業
- 事務職から別業種への転職は難しい
30代でも国立大学職員での経験をアピールできれば、十分に転職のチャンスがあります。
以下の記事で、国立大学から私立大学に転職したエピソードを紹介しています。
関連記事:国立大学から私立大学に転職した事例!大学職員が年収アップする方法
私立大学職員への転職の求人数は少ないですが、未公開求人を持っている転職エージェントもありますので、転職サイトへの登録から始めるといいでしょう。
転職サイトの登録は、マイナビ転職・リクナビNEXT・dodaの3社がおすすめです。
公務員への転職
大幅な年収アップにはなりませんが、公務員への転職も選択肢の1つです。
同地域の県庁や市役所の公務員であれば、年収50~100万円程度上がるケースが多いです。
公務員試験は筆記試験があり、年齢制限を設けているのがネックですが、近年では年齢制限のない社会人採用試験も増えています。
公務員へ転職するのであれば、『公務員転職ハンドブック』が資料請求でもらえるのでオススメです。
資格の予備校クレアールに資料請求をすると貰えて、自治体ごとの社会人採用の年齢制限や面接で聞かれたことがまとまっていて便利です(国立大学法人を受験する人にもオススメしています)。
電話番号の入力は任意で、しつこい勧誘なし
30歳までであれば、通常の筆記試験にチャレンジできるので、そのルートで勉強するのもいいでしょう。
関連記事:国立大学法人採用試験におすすめの通信講座ランキング
別業種への転職
そもそも事務職の年収に限界を感じている場合は、別業種への転職を検討するのもいいでしょう。
私大・公務員以外で、大学職員からの転職で年収アップしているのは以下のケースです。
いずれも勉強して、スキルをつけて年収を上げているケースです。楽に年収を上げるのは難しいでしょう。
情報収集も兼ねて、多くの転職サイト・転職エージェントに登録するのが転職成功のコツです。
大学で働く教職員の給与水準
大学で働く事務職員以外の給与水準についても紹介していきます。
大学教員(教授・准教授・助教など)の給与は高い
大学教員は、高給取りの職業です。「教授」となれば年収は1000万円を超えるケースが多いです。
しかし、20代の大学教員はほとんどいないという点と、多くが大学院卒であることを考えると、平均年収の高さは納得のできるものです。
大学だけのデータをみると「平均年収1100万円」などと出ていることがありますが、大学教員が給与額を上げているため、事務職員まで給与が高いとは限りません。事務職員単独では、数百万円平均年収が低いということもあるので、集計しているデータをしっかり確認するようにしましょう。
附属の大学病院がある場合は、「医師」が平均給与を上げているケースもあります。
看護師・医療事務職員の年収は一般的な水準
大学病院に勤める「看護師」や「医療事務職員」は一般的な年収水準です。
※「医療事務職員」は大学病院の窓口受付などで勤務する職員のことです。
「事務職員」や「看護師」が多いほど、大学全体の平均年収が下がると思っていいでしょう。
先ほどと同じ東京大学の令和4年度のデータでは、看護師の平均年齢は35.9歳で、平均年収は598万4千円となっています(参考:令和4年度財務情報(東京大学))。
一般的には、年収500〜600万円でも充分ですが、大学の中では年収が低い部類です。
また、国立大学職員に比べて私立大学職員のほうが、給与は高い傾向にあり、以下の記事で紹介しています。
まとめ:国立大学の平均年収は地域・手当で変わる
大学全体で見ると平均年収は高いですが、「大学職員」で特に地方の国立大学職員の場合はそこまで高い年収にはなりません。
関東圏では、30歳で年収約500万円となりますが、以下の要素で年収は大きく変わります
- 大学の場所
- 家族手当の有無
- 住居手当の有無
- 残業の有無
「手当内容」を公開している大学も多いので、就職・転職する前には調べてみると良いと思います。
大学職員は安定している仕事なので、多くの人にオススメできます。
まずは国立大学で経歴を積んで、私立大学職員に転職するというキャリア形成もいいでしょう。
また、契約社員から正社員を目指すというルートもあります。本サイトでは大学職員への転職の方法を紹介していますので、別の記事も読んでみて下さい。
大学職員の転職に役立つ参考書なども紹介しています。