国立大学職員の昇給額は年5,000円〜1万円!賃上げと俸給表の仕組みを解説
国立大学職員は毎年、基本給の定期昇給があります。
具体的には、毎年5,000円〜1万円ほどの昇給が行われています。
国立大学職員はかつて「国家公務員」でした。その名残で、現在も給与体系・昇給制度は国家公務員の制度に準じています。
- 国立大学職員の毎年の昇給は5,000円~1万円ほど
- 現在は国家公務員ではないが、国家公務員の給与制度を踏襲
- 私立大学職員・大学教員の昇給もあわせて紹介
- 即座に賃上げされるケースは稀
国立大学職員の「昇給額の算定方法」と「給料に差がつくタイミング」について、民間企業と比較しながら、解説します!
筆者が民間企業にいた頃は、数年に1回職位が上がったときの昇給のみだったのですが、国立大学職員は安定的に昇給していきます。
国立大学職員の昇給額は毎年5,000円〜1万円
国立大学職員の毎年の昇給額は毎年5,000円〜1万円程度です。
実際に筆者の基本給額の推移は以下の通りです。(民間企業での勤務経験がある中途採用のため、新卒よりは高い水準にあります。)
1年目(25歳) | 198,600円 |
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2年目(26歳) | 209,400円(昇給額:10,800円) |
3年目(27歳) | 217,100円(昇給額:7,700円) |
4年目(28歳) | 229,700円(昇給額:12,600円) |
5年目(29歳) | 236,900円(昇給額:7,200円) |
6年目(30歳) | 241,900円(昇給額:5,000円) |
7年目(31歳) | 248,900円(昇給額:7,000円) |
筆者の昇給額は、5,000円〜12,600円で推移しています。
平均昇給額の5,000円〜1万円を上回っている時もありますが、以下の理由があります。
- 20代など若手は昇給額が高くなりやすい
- 高評価の査定を受けた
- 職位が上がると、大幅に昇給する
1万円以上の昇給があったのは、高評価を受けた時と職位が上がったときです。
また、30代以上になると昇給額が低くなり、5,000円以下になることもあります。
高評価や昇進が絡むと昇給額1万円以上。普通の年だと昇給額5,000円程度に落ち着きます。
国立大学職員の昇給制度・俸給表の内容
国立大学職員の昇給は、国家公務員時代の給与体系に基づいて行われています。
なお、国家公務員の給与算定基準に基づいているものの、国家公務員と同様の給与額が支払われているわけではありません。
東京大学のホームページに掲載されている「東京大学の給与規則」を抜粋したのが下の表です。
「俸給表(ほうきゅうひょう)」という給与表が「給与規程」で定めれらており、「職務の級」と「号俸」で基本給が決まります。
- 職務の級・・・係員、主任、係長、課長など役職ごとに上がる
- 号俸・・・毎年、査定により上がる
「職務の級」は数年に一度、「昇進」によって上がります。
一方で、号俸は毎年上がり、号俸があがることが「昇給」にあたります。
規程によりますが、通常の評価で「4」号俸、最高評価で「8」号俸が上がります。
号俸が低い時は1号俸で2,000円以上昇給することもありますが、号俸が高いときには、1号俸で数百円程度になります。
例えば4号俸アップであれば、下記の表で56号俸から60号俸に昇給して、基本給が「223,500円」から「226,100円」に上がるイメージです。この昇給が毎年行われます。
国立大学職員の給料は毎年昇給しますが、「昇進」しないでいると、昇給額が少なくなるという特徴があります。
国立大学職員の給与に差がつくのは35歳以降
国立大学職員の給与体系だと、若い頃に給与額に差がつきにくいです。
若手社員で高評価を得るほどのアピールをするのは難しいので、多くは「良い」という平均的な評価になります。
筆者が運良く「高評価」をとったのも1回だけです。上司の「お気に入り」でもない限り、差がつきません。
10年の勤務で最も差がついても、月額2万円くらいです。「使えない社員」と「エリート社員」の差が月給2万円分です。
しばらくは給与差がつきにくいものの、35歳以上になると「昇進」が絡んできます。
役職があると手当がつきますし、給与算定の「職位」が変わります。先に昇進すれば3万円程度の差をつけることも可能です。
一方で、月額3万円程度であれば、扶養手当や住居手当、残業手当で埋まってしまうような差なので、頑張って出世した社員からすると「納得いかない」給与体系なのかもしれません。
教員・私立大学職員の昇給・給与体系
参考に教員や私立大学の昇給についても紹介します。
国立大学教員の昇給制度の内容
国立大学教員も事務職員同様、俸給表に基づいて基本給(俸給月額)が決まっています。
事務職員は「一般職俸給表」、教員は「教育職俸給表」を用います。
- 教授・准教授・講師・助教・助手などの役職に応じて、「級」が変わります。
- 毎年の昇給で、「号俸」が上がります。
事務職員と同様、普通評価で「4」、最高評価で「8」上がります。毎年5,000円~1万円ほどの昇給が多く、役職が上がると数万円月給が一気に上がることもあります。
教授:5級 准教授:4級 講師:3級 助教:2級 などと決まっています。
私立大学の昇給制度の内容
私立大学は民間企業と同様、給与制度は公開されておらず、統一されたルールはありません。
求人情報の「基本給」や「昇給モデルケース」から推測するしかありません。
私立大学の年収状況をまとめているサイトがありますが、昇給の給与規則については大学内部の人にしかわからないため、信頼できるものとは限りません。
私立大学職員は、国立大学職員に比べて給与が高い傾向にあります。
大学職員は賃上げがある?
2022年以降、物価高が続いており賃上げ・ベースアップを行う企業が増えています。
大学の賃上げが即座に行われるケースは稀です。
- 国立大学・・・国家公務員の給与体系を踏襲しているため、人事院勧告に基づき公務員と近いタイミングで賃上げが行われる
- 私立大学・・・物価高が授業料収入の増加に繋がるわけではないため、賃上げになりづらい
国立も私立も民間企業から数年遅れて、基本給が上がるケースが多いでしょう。
まとめ:国立大学職員の給与は安定昇給
国立大学職員の昇給額について解説してきました。
毎年5,000円〜1万円程度で安定昇給するのが、国立大学の給与体系の魅力です。
一方で、インセンティブ給などがないため、大幅な年収アップを望むのは難しいです。
昇給スピードが早く、高年収を狙うのであれば私立大学職員がオススメです。私立大学職員への転職に使える転職サイト・転職エージェントは以下の記事で紹介しています。
それでも国立大学は、福利厚生が充実していて、就職・転職するのに特別なスキルも必要ありません。
近年では、不安定な民間企業から転職する人も多くいますので、多くの人にチャンスがあります。
30歳までを対象とした筆記試験を重視する「統一採用試験」、社会人経験を重視する「独自採用試験」がありますので、気になる方は以下の記事も参考にしてください。
30歳以上の社会人採用や非正規からの正社員登用も頻繁に行われていますので、多くの人にチャンスがあります。
国立大学職員試験におすすめの参考書や通信講座も紹介しています。