大学職員がリストラされることはある?将来性と安定性を現役職員が解説

大学職員は景気に左右されにくい安定した職業です。
安定しているのは、「大学」という組織が「利益追求を最優先にしていない」「参照障壁が高く、競合が増えにくい」という理由からです。
- 大学職員は安定した職業。5つの要素から安定性を解説
- 大学の将来性は不安だが、国立や有名私立大学はしばらく安泰
- 運営費交付金があるため、リストラが行われる可能性は限りなく低い
現在の大学に安定しているイメージを抱いている人は多いでしょう。
18歳人口が減っているので将来性に不安はありますが、リストラの心配はほとんどないでしょう。

大学職員の仕事が安定している理由

一般的に仕事の安定は「会社の経営状況の安定」をいうことが多いです。
経営状況が安定していれば、人員整理やボーナスカットなどを行う必要がなく、安定した雇用環境を維持できるからです。
大学の経営状況は、民間企業に比べると安定しています。
「利益追求を最優先にしていない」「参入障壁が高く、競合が増えにくい」という理由からです。
大学は「よりよい教育を行うための学校法人」が運営
大学は民間企業と異なり、「学校法人」が運営しています。
学校法人は「よりよい教育を行うため」に設置された機関です。
教育を行うために、国からの補助金が整備されていますし、景気により経営が左右されにくい特徴があります。
受験生・学生がいる限り、円安や物価高の影響を受けて、大学経営が大幅に傾くということは考えにくいです。
大学経営のミスで、学生が不利益を被る状況にならないように、国が後ろ盾として存在しているイメージでしょう。
大学は「参入障壁が高く、競合が増えにくい」
大学は、参入障壁が高く、競合が増えにくい職場です。
数年の間に、新しく大学がいくつも開設されたという話は聞きませんよね。大学の設立には文部科学省の認可が必要となり、多額の資金も必要になります。
町中にある店舗であれば、近くに競合店が出店すれば売上高に影響が受けるのは当然ですし、インターネットで販売しているサービスは世界中の商品との価格競争に晒されています。
競合サービスの登場で、倒産に追いやられる企業も少なくない中、「大学は高い参入障壁に守られている」と考えていいでしょう。
大学職員が安定を示す具体的な状況

民間企業と比較して感じる「安定の状況」を5つの点で紹介します。
- 給与の安定
- 雇用環境の安定
- 労働環境の安定
- 仕事内容の安定
- 人間関係の安定
給与の安定:経営状況・収入が安定しているため
大学職員は給与体系が安定しています。
私立大学で経営が苦しくなり、給与体系が悪化した話は聞いたことがありますが、名の知れた大学では問題ないでしょう。
また、安定して昇給していきます。
国立大学職員は特段、給与が高くありませんが、私立大学は高年収の仕事として知られています。
研究に関する国からの予算は年々削減されているものの、技術の先進国として世界をリードしていくためには大学教授の研究力は必ず必要なものであり、給料が減ることは考えにくいでしょう。
受験料・授業料収入の増減はありますが、短期的に大学の教職員の給料に影響する可能性は低いです。

雇用環境の安定:経営状況が安定しており、リストラが不要
大学職員は雇用環境も安定しています。リストラや人員整理ということは考えづらいです。
経営状態が景気による影響を受けづらいということと、学校法人である以上国からの補助金等があることが理由です。
ひどい経営状況悪化でもない限り、雇用は守られると考えていいでしょう。
経営状況が悪化したり、国からの補助金が減ったりしても、まずは新規採用数を絞ることや職員の非常勤職員化で調整することとなりますから、現職に影響が出るのは先になります。
民間企業では、大企業でも解雇や早期退職が行われている状況です。財政破綻する市もある状況では、大学職員の「安定性」は申し分ないと言えます。
ただし、長期的には18歳人口が減り、受験料収入が減ることは間違いありません。収益を得るための施策を大学が行っているかは注視しておいたほうがいいでしょう。
労働環境の安定:ワークライフバランスを重視できる
大学職員はワークライフバランスを重視して、仕事ができる環境です。
ライフプランに応じて、働き方を変えられる制度が整っています。
具体的には、年次有給休暇・慶弔休暇・リフレッシュ休暇などが整備され、休暇の取得が推進されています。
また、男女ともに育児休業を取得することができ、筆者の大学では3割程度の男性職員が育児休業を取得しています。
病気・育児・介護などに関する休業・時短勤務制度を利用しやすいため、育児休業と復帰を繰り返して、長年働いて管理職になっている女性職員もいます。
長期間、安定して勤めることができるのは男女ともに嬉しいポイントです。
経営が安定しているため、職員を休ませる余裕があるということでしょう。

仕事内容の安定:大きく業務内容が変わることはない
仕事内容が安定しているのも大学職員の特徴です。
大学事務職員の仕事は「総務・人事系」「学務・教務系」「財務・会計系」のいずれかがメインです。
参考:大学職員の職種の分類は「事務8割」「技術1割」「図書1割」
「よりよい教育を提供する」のが、学校法人の目的ですから、目的外の職種への異動は考えにくいです。
民間企業では、大手企業でも経営を続けるために業態をシフトしている企業は多いです。
- 飲食業界→介護業界
- 自動車メーカー→金融業界
- 店舗販売→ネット販売
会社が力を入れる分野に合わせて、社員が働く場所も変わっていくことはよくありますが、大学職員が全く違う業界の仕事を行う可能性は低いです。
そもそも、大学職員の仕事は「事務」なので、誰にでもできる仕事が多いです。
人間関係の安定性:関わるのは教員と学生が中心
大学内での人間関係も安定しています。
公的機関で働く、大学職員・大学教員には態度のムラがない人が多く、安定した人間関係が築けます。
「大学教員」は教育を専門としていますから、人間性に優れた人が多く、気持ちよく仕事ができます。
大学に関係する人は全体的に、心穏やかな人が多いです。
常にノルマに追われて、業績に左右される民間企業とは違った環境だと感じます。
人間関係に悩むことなく、安定した対人関係の中で仕事をできるのは恵まれている環境だと思います。
中には、人間関係にストレスを感じる人もいて、下記の記事で紹介しています。

安定しない「将来性」と「残業時間」
ここまで、安定している要素を紹介してきましたが、安定していないと感じる要素として「将来性」と「残業時間」が挙げられます。
大学の将来性には不安があるため、別のスキルをつけよう
大学の将来性に不安を抱える人は多いでしょう。18歳人口が減り、海外からの留学生数の大幅な増加も期待できないとなると、大学の存在感は減るばかりです。
また、日本の大学の研究費の少なさ等から、研究環境を海外に求める優秀な学生・若手教員は少なくありません。
とはいえ、治安が良く島国である日本から大幅な人口流出は考えにくいため、対策する時間があります。
大学に勤めながら別のスキルをつけたり、副業を行うのがいいでしょう。

繁忙期に残業時間が多くなる大学職員
大学職員は閑散期と繁忙期の業務量のムラがあり、入試などの行事が重なる2〜3月は夜遅くまで残業する人が多く、残業時間50時間を超える人も少なくありません。
安定しているからといって、常に暇というわけではないので、覚悟しておいたほうがいいでしょう。
まとめ:大学は安定性抜群!将来性は・・・
大学職員は様々な要素から、「安定」している仕事といえます。
経営状況が安定しているため、給与・雇用に関しては、しばらく不安になる必要はないでしょう。
しかし、20年以上先を考えた将来性については「不安な要素」もあります。何十年先も確実に安定が続く業界・仕事はないと思います。
副業・投資など、自分で稼ぐスキルをつけるといいでしょう。
大学は安定しているため、副業・投資などの勉強をする時間を作りやすいと思います。
大学職員への転職は、契約社員から正社員登用を狙うという手もありますので、多くの転職サイト・転職エージェントで探してみてください。

