大学職員の仕事はつまらない?楽しい?暇?ストレス?事務仕事の実態
大学職員の仕事について調べていると、「つまらない」「楽しい」「暇」「ストレス」「うつ」「楽」など、様々な意見があります。
本記事では、実際に7年以上大学職員として働く筆者が大学事務の仕事のリアルをお伝えします。「つまらないのは経理課」など、部署に関する情報もお伝えします。
【大学職員の仕事のリアル】
- 「つまらない」のは裁量権がないから
- 「楽しい」のは留学生課など、コミュニケーションが多い部署
- 「ストレスが溜まる」のは、教員対応が大変だから
- 「楽」なのは、定型的な仕事が多く、ノルマがないから
- 「うつ病」になる人も多い
筆者は、正社員・アルバイト・副業含めて10以上の仕事を経験していますので、他の仕事と比べた「大学事務の仕事」の実態をお伝えできるかと思います。
事務職の仕事全般に言えることも多いので、公務員を含めた事務職・行政職を目指す人の参考にもなるはずです。
大学職員の仕事はつまらない?
大学職員の仕事には、つまらない仕事も楽しい仕事もあります。体感としてはつまらない仕事が8割以上というところだと思います。
事務職はどうしても、つまらない単調な仕事が多くなります。つまらないと感じるのは主に以下の3点からです。
- 裁量権が小さい
- ルーチンワークが多い
- 誰でもできる仕事が多い
裁量権が小さい
大学職員の特徴の1つとして「裁量権が小さい」ということが挙げられます。裁量権が小さいことで、「つまらない」と感じる人は多いでしょう。
大学職員は公的機関として、大学の規則・規程や文部科学省からの指示に従って組織運営を行っています。
ルールに則って仕事を行うのが基本ですから、アイデアや個性は求められないケースが多いです。
さらに、大学で重要なことを決定するのは教授をはじめとする「教員」です。事務は補助的役割なので、出世して役職がついたとしても、裁量権を与えられることはほとんどないと思っていいでしょう。
裁量権の少なさから「つまらない」という印象を持つ人がいるようです。
しかし、裏返せば「規則・規程」を理解して適切に運用することが得意であれば、大学職員に向いています。難しいルールを理解して関係者に説明する作業が楽しければ、「つまらない」とは思わないはずです。
ルーチンワークが多い
大学職員の仕事は、事務職のためルーチンワークが多いです。
- 毎月の会議の議題確認・議事録作成
- 出張旅費の計算、伝票の支払い
- 給与支払い事務、人事異動手続き
毎月同じような業務をやっているので、つまらないと感じる人は多いでしょう。
若手の時期はルーチンワークを正確に早くやることが求められますが、昇進するに連れ、アイデアを出したり、マネジメントを行ったりと求められる仕事が変わってきます。
誰でもできる仕事が多い
大学職員の仕事は、誰でもできるマニュアル化された仕事が多いです。
- 優秀な職員が異動してしまったから、給与が適切に支払われない
- 新人が配属されて、研究費の申請が滞る
このような状況を避けるため、仕事内容がマニュアル化され、特別な能力がない職員でも仕事ができる状況です。
個人の強みを活かすというよりは、大学のルールに則って業務を行うという場面が多いので、つまらないと感じる人は多いでしょう。
【つまらない部署】
財務課・経理課・・・数字と向き合うばかりでコミュニケーションを取る機会が少ない
大学職員の仕事は楽しい?
大学職員の仕事を楽しいという人もいます。楽しいと感じるのは主に以下の3点からです。
- 大学のキャンパスで仕事ができる
- 業務改善の提案
- 学生・教員とのコミュニケーション
大学のキャンパスで仕事ができる
仕事内容はつまらないとしても、勤務場所が好きという人は多いです。
若い学生が勉学に励んでいる大学のキャンパス内で、仕事ができるのは大学職員の魅力の1つです。
学生がサークル活動を行ったり、楽しそうに会話をしていたりする姿を見て、ポジティブな感情が湧く人も多いでしょう。また、図書館やグラウンド、学食などの施設を利用できるのも嬉しいポイントです。
オフィスビルで淡々と仕事をしているのに比べると、楽しいと感じる人も多いのかもしれません。
業務改善の提案
大学職員の仕事では、提案を求められる場面もよくあります。
- 法改正に伴い、学内ルールも改正し、説明会を行う
- 教務システム・財務システムなどを新たに調達する
- 学生サービス向上のため、ホームページを改修する
このような新たな業務が生じることはどこの部署でもあります。定型的な業務が多い大学職員も、日々の業務効率化・業務改善を求められことは多いです。
大学全体の業務を改善するために、システムの仕様を検討したり、ホームページを見やすいものに改修したりする仕事は自由度が高く、楽しいと感じられる仕事です。
学生とのコミュニケーション
学生と関わり、学生の成長を感じられる部署は「楽しい」と感じやすいでしょう。
特に、大学職員で楽しく仕事をしていると感じるのは「留学生関係の仕事」です。
留学生の日本での生活を支えること、また語学力を生かせる仕事を行い、学生から感謝されるという一連の流れは「やりがい」のある仕事でしょう。
留学生関係に限らず、人事関係や財務関係のバックオフィス部署でも、人間関係がいい部署は楽しく仕事をしています。
現在の仕事が楽しくない人は、楽しそうに仕事をしている人がいる部署に異動願をだすのも一つの方法です。
【楽しい部署】
留学生課・・・学生とのコミュニケーション。感謝されることが多く、海外出張もある。
大学職員の仕事はストレス?
大学職員の仕事は「ストレスが溜まる」という意見と「楽」という意見があります。
ストレスを抱えて、うつ病になる職員も少なくありません。ストレスを感じるのは主に以下の3点からです。
- 教員対応が大変
- 無能職員の存在
- 制度を悪用し、ストレスがあると言っている
教員対応が大変
ストレスを溜める、だいたいの原因は人間関係です。特に、大学教員との対応に疲弊してしまう職員は多いです。
大学教員は、頭脳明晰で、寝る時間を惜しんで研究や論文指導を行っている人がほとんどです。自分と同程度の仕事量・能力を事務職員に要求してくる教員もいます。
土日に仕事を要求したり、少しのミスを厳しく指摘したりする教員も一部いますので、そんな教員との対応にストレスを溜めてしまう人がいます。
しかし、近年ではアカハラ・パワハラ禁止について大学内でも頻繁に注意喚起が行われていますので、無理な要求をする教員は減ってきています。
教員対応は「総務・人事」「財務・会計」「学務・教務」全ての部署にあります。教員対応が少ないのは、電気や建設などの「施設系」の部署になりますが、専門性のない事務職員は施設系で働くケースはほとんどありません。
教員対応に疲弊して、うつ病で休職する職員も少なくありません。
無能職員の存在
仕事自体には満足しているものの、部署内の上司や部下との関係でストレスを溜めている人は多いです。
- 文部科学省から異動してきた上司が話を聞いてくれない
- 仕事をしてくれない部下の扱いに困る
特に、国立大学職員は準公務員なので、就業規則が厳格で、パワハラの禁止・休業制度の充実など、労働環境が整っています。
充実した制度を使い、仕事はせずに賢く給与をもらっている「無能職員」も一定数存在しています。
叱責などはパワハラにあたる可能性がありますし、仕事をしなくてもクビにすることは難しいので、対応に苦慮している大学職員は多いです。
部署ごと、職員ごとの業務量の偏り
無能職員の存在とともに大学職員のストレスとなっているのが、部署ごとの業務量の偏りです。
- 優秀な職員は財務課や人事課など、忙しい部署に配属されやすい
- 文学部より医学部のほうが業務が多いが、人員が適切に配置されていない
このような例はよくあります。忙しい部署に配属されて、給与が上がればいいのですが、民間企業ほどの待遇差がないという現実があります。
出世しない窓際職員と忙しい部署を多く経験した職員の年収差は最大で開いても200万円ほどです。
「忙しい割に給与に反映されない、給与に反映されないなら出世しないほうがましだった」とストレスを抱える優秀な職員が増えているのは、大学の大きな問題の1つです。
【ストレスが溜まる部署】
癖の強い教員が多くいる部署。逆に、淡々と仕事ができる施設系はストレスが溜まりにくい。
大学職員の仕事は楽?
大学職員の仕事は、ノルマや明確な達成目標を設定しづらく、定型的な仕事が多いので「楽」と言われることが多いです。
大学職員の仕事の多くは事務作業です。時間をかければ誰でもできる仕事で、人によって成果がほとんど変わりません。
ノルマに常に追われるような仕事をしていた人からすれば「楽」な仕事でしょう。
特に楽な部署と感じるのが「小さな学部の事務室」です。
小さな学部とは、学生数も教員数も少ない学部のことです。大学にもよりますが、法学部や工学部が大きな学部、文学部や理学部が小さな学部と考えられます。
小さな学部であれば、関わる教員・学生が少なく、全体的な仕事量も少ないです。
小さな学部の窓口で行う仕事は「楽な仕事」である可能性が高いです。
【楽な部署】
文学部・理学部など、小さな学部の事務室。
他の仕事と比較した大学職員の仕事
仕事内容について、筆者が経験した仕事と比べて5段階で評価します。
やりがいもストレスもある、「塾講師」や「旅行の添乗員」とは真逆の仕事です。
大学職員の仕事のつまらなさ:5 ☆☆☆☆☆
「仕事のつまらなさ」は、最高の5つ星です(僕の経験した部署だけの話ですが)。
自分が成長している実感をあまり感じられません。マニュアルに従ったルーチン業務が多いためです。
コンビニでのバイトのほうが楽しかったと思います。新商品の入荷があったり、考えてホットスナックを揚げたり、日々の変化があるからです。
大学職員の仕事の楽しさ:2 ☆☆
「仕事の楽しさ」は、星2つです。
楽しいと感じる仕事もほとんどありません。オープンキャンパスや大学祭の手伝いなどは数少ない、大学事務の楽しい仕事です。
模試採点のバイトを昔していましたが、それと同じくらい楽しさはないですね。
大学職員の仕事のストレス:2 ☆☆
「仕事で感じるストレス」は、星2つです。
たまに教員や上司に怒られることはありますが、ストレスを常に感じるほどではありません。
クラウドソーシングで仕事を受注しているのと変わらないくらい、ストレスフリーです。
大学職員の仕事の楽さ:4 ☆☆☆☆
「仕事の楽さ」は、星4つです。
仕事に追われることはほとんどありません。急ぎで行う対応も「規程」や「マニュアル」があるので、疲れは少ないです。
平日の混んでいないファミレスのアルバイトくらいの楽さというイメージでしょうか。
大学職員の仕事の忙しさ:3 ☆☆☆
「仕事の忙しさ」は、星3つです。
数値目標がないため、落ち着いて仕事ができます。しかし、入試や決算等の繁忙期には、短い時間に大量の仕事が発生するため、常に「暇」というわけにはいきません。
夏期講習や冬期講習で一気に忙しくなる、塾講師の仕事に近い感覚です。「激務」というほどではありません。
まとめ:納得できれば大学職員はいい仕事
大学職員の仕事について紹介してきました。あくまで、筆者の意見ということでご理解ください。
「つまらない仕事」は頭を使わなくていい仕事ということでもありますし、「楽な仕事」の中にもストレスが溜まる作業はあるでしょう。
仕事には良い面も悪い面もありますので、自分で納得できるかが重要なポイントだと考えています。
筆者としては、「楽」な仕事だと思いますので、就職するにはオススメできます。
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大学職員としていて仕事をしていて「つまらない」「ストレスが溜まる」という方は転職を検討してもいいでしょう。