大学職員の仕事内容やどんな働き方をしているのか。また、仕事に将来性はあるのか、「大学職員」がどんな仕事をしているかわからない人に向けて紹介します。
仕事内容は「教員のサポート」
一言でいえば「教員のサポート」が大学職員の仕事です。
正確に言えば、学生のサポートや大学の財務管理などもやるのですが、「先生が忙しくてできない」学生の進路指導のサポートや「先生が忙しくてできない」会計処理を行っているという側面があります。
イメージとしては半分秘書、半分バックオフィスというイメージです。

秘書的役割
先生が出張に行くのに旅費支給の手続きを行ったり、先生が授業を行うための資料をコピーしたり秘書的な仕事が半分くらいです。
授業内容をシラバスに落とし込むことや研究費を獲得するための書類作成のサポートをすることもあります。時に専門知識も必要です。
バックオフィス的役割
バックオフィスとは、どんな会社にでもある「管理部門」のことです。
わかりやすいのは「人事部」や「経理部」です。保険関係や給料支払の手続きをしたり、各種会計処理を行い、大学の運営を支えています。
先生に近い場所で「秘書的役割」をやっている部署もあれば、大学本部事務局でひたすら会計処理を行ってほとんど人と話さない部署もあります。
多くの職員は「秘書的役割」も「バックオフィス的役割」も担っています。
勤務場所・勤務時間
勤務場所は先生に近い「各学部の事務室」か「事務局」(バックオフィスの本部)のどちらかが大半です。
勤務時間はサラリーマンに近い8:30〜17:30というところが多いです。
授業の時間に合わせて、早出や遅番を設定している部署もあります。
大学職員の職種は「事務」か「技術」
大学職員の職種は「事務」と「技術」に分かれ、8割以上が「事務」です。

大学の事務職員
大学職員というと一般的に「事務職員」を指すことが多いです。先生のサポート事務を担っています。
先程あげた、授業・シラバス等の準備やバックオフィスの人事や経理を担います。
大学の技術職員
大学職員には「技術職員」がいます。
情報処理・土木・電気・生物など専門性を持った職員も働いています。
一般企業であれば外注するような専門的なことも「大学」という研究機関では職員として雇用していることがあります。
例えば、「生物」の専門的な知識を持った技術職員が先生が研究する実験動物の管理を行っている場合などです。
大学教員と研究員
大学職員以外で働いているのが「大学教員」です。大学の教育・研究を担う方々です。
教員と職員を合わせて「教職員」という言い方をします。
また、教員に近いポジションで「研究員」もいます。授業などの「教育」は行わず、「研究」のみを行う人たちです。
学生にとってはほとんど、「大学教員」としか絡みがないと思います。
事務職員の仕事は「学務・会計・総務」
具体的な事務職員の仕事は多岐に渡りますが、基本は3種類に分類されます。
学務(学生支援・就職支援・カリキュラムなど)
一番わかりやすいのが「学務」の仕事です。
学生さんと関わる業務のことで、在学証明書の発行や奨学金の手続きなどです。その他、留学生の生活支援や入試の対応までを行います。
授業や入試問題の採点を行うのは「教員」ですが、学生の履修登録の確認や掲示板やホームページへ情報を出す、入試採点結果の取りまとめなどは学務担当の事務職員が行います。
会計(財務・経理・研究推進)
大学に係るお金関係の手続き全般を取り扱います。わかりやすいのは入学金の受け入れや教員の物品購入に係る経理です。
あまり知られていないのですが、大学教員に与えられている研究費の額は少ないです。
自ら研究費獲得の申請書を作成し、研究費を獲得しなければ、学会出張や実験物品の購入はできません。
研究費の獲得のためのサポート(申請書作成の手伝いや採択後の契約書の締結)を行うのも会計担当の業務です。
総務(人事・広報・企画)
学務・会計以外の多くのことは「総務担当」の仕事になります。
給与や保険関係の手続、人事異動に関する調整、広報戦略の検討、大学運営に関わる企画の推進、各会議資料の準備などです。
人事担当がやることは一般企業の人事部と一緒です。あとは学長や学部長の秘書的な役割として日程調整をしたり、大学の組織改革を進めたりします。

その他(情報担当やブロジェクトチーム、医療事務)
「学務・会計・総務」に該当しない部署もあります。
情報セキュリティ対策のチームやキャンパス移動のプロジェクトチーム、大学によっては病院が附属されていて医療事務を担当することもあります(医療事務は完全に別採用の大学もあります。)
正社員や契約社員、派遣社員の違い
大学職員も一般企業と同様、様々な勤務形態で働いている人がいます。
割合としては正社員が半分くらいで残りが短時間勤務などの非常勤勤務ということになると思います。
一般企業と同様、非正規職員の割合が大きくなってきている気がします。
それぞれ、常勤職員・非常勤職員(非正規職員・パート)・派遣職員と呼ばれます。
大学なので「社員」ではなく、「職員」ということでしょう。
正社員(常勤職員)
正規職員が重要な仕事を行います。民間企業では重要な仕事=大きなお金が動く仕事と思われがちです。
大学職員の仕事は営業で数字を上げるということがほとんどないので、より責任のある仕事を正規職員が担当します。
具体的にいうと、給与支払いの関係や契約書の締結、入試関係、卒業判定の業務などです。
契約社員(非常勤職員・パート)
固定費の人件費を減らすために、多くの大学で常勤職員が減り、非常勤職員が増えています。
「仕事内容」の章で説明したように、秘書的な役割も多いのが大学職員の業務です。
日程調整やシステムへの入力、授業のための資料準備などを非常勤職員が行うことが多いです。
派遣社員(派遣職員)
一般企業と同様ですが、一時的に派遣職員さんに仕事をしてもらうこともあります。
多いのは決算が近い時期に会計業務ができる「派遣職員」さんに仕事を一時的にお願いするというものです。
最小限の人数で事務を行っている大学も多いので、緊急の欠員に対して「派遣職員」に仕事をしてもらうこともあります。

大学職員の仕事の将来性・やりがい
大学に対して、「将来性がない」「職員はやりがいがない」ということをたまに耳にします。
これらの意見には一理ありますが、考え方次第だと思います。
将来性は不安。大学の企画力が試させる
日本の18歳人口が減っていくことは間違いありません。それだけをみると将来性がないという意見はわかります。
しかし、人口が減っていくというのはどの業界でも一緒です。
その中で、魅力的な大学を作る力が試されます。
また、日本の18歳だけを対象にするのではなく、留学生を積極的に受け入れる、社会人を受け入れるという考え方もあります。
民間企業との産学連携ベンチャー企業も増えています。大学の政策がうまくいけば、現在以上に良い財務状態になることも考えられます。
「やりがい」は人のためになると思うこと
大学職員は「やりがいがないのでは?」と言われます。
たしかに大学の主役は勉強する「学生」と、教育・研究を行う「教員」です。「大学職員」は縁の下の力持ちの役割です。
基本的には誰でもできる仕事をミスなくこなすことが求められます。
人事関係手続き、財務状況書類の作成、入試結果の取りまとめ・発送など、ミスをしないことが大事な仕事ばかりです。
大学職員の営業力で受験者数を増やすなどということは求められません。(受験者へのアピールは教員の仕事と考えられています。)
自分の努力が数字として現れる営業職のような「やりがい」は確かにないと思います。
「個人の結果」ではなく、自分の働きが先生や学生のためになっていると考えて、仕事を着実にできることを「やりがい」と思い込むことが大事だと思います。(私も「やりがい」ないなと思うことがあります。笑)
この記事で、大学職員の仕事内容が少しでも伝われば嬉しいです。

