大学職員の仕事に興味をもって、働きたいと思ったらすぐに働けるものなのでしょうか? 5年前に大学職員に中途採用になった筆者が就職・転職のポイントを解説します。
大学職員就職の難易度・倍率
多くの大学があるので、大学職員の難易度も簡単にまとめられるものではありません。大きく3つの分類ができると思います。
国公立大学職員への就職
国立大学職員は20年ほど前は国家公務員でした。それが「法人化」し、現在では公務員ではなく法人職員となっています。
しかし、当時の風習はいまだに残っており、国立大学職員就職のための1次試験には公務員試験と似た形式の筆記問題が出題されます。各種法律や経済、文系理系の常識問題、数的処理など。
1次試験の合格には公務員試験対策と同様の勉強が必要ですが、面接の倍率は数倍とあまり高くないことが多いようです。
首都圏の人気私立大学職員への就職
私立大学への就職は一般企業と似た採用の流れになります。
エントリーシート→筆記試験・SPI→グループ面接・グループディスカッション→個人面接というながれが多いようです。
民間企業と同様、各大学ごとに選考の仕方に特色があります。
難易度や倍率は人気民間企業に近く、倍率百倍を超える大学もあります。
基礎学力があり、コミュニケーション能力もあるやる気のある人が採用されているイメージがあります。
中堅以下の私立大学職員への就職
中堅以下の私立大学は長期間に渡り存続することが厳しいと言われており、その事情は就職する側の「若者」もよく知っています。
潰れるかもしれない大学に就職したいと思う人は少ないですから、自ずと難易度や倍率は低くなります。
お客さんである「大学生」を集めることができなければ大学が潰れてしまうこともあります。
中堅以下の私大を検討する場合は「独自の政策」があり、存続できる大学かどうかを見極める必要があるでしょう。
大学職員になる人の経歴は新卒?中途?
大学の種類がさまざまであれば、大学職員の採用の仕方も様々です。
新卒しか採用しない大学もあれば、中途を積極的に採用する大学もあります。
新卒採用者は少ない印象
全体的には新卒の採用者は少ない印象です。若い方が少ないからかもしれないですが。
学部卒の新卒を採用すると、在学する大学院生のほうが年上という状況が生じます。
そういった背景から新卒者が少ないのかもしれません。また、大学院を卒業して大学職員になる人も一定数います。
ただ、新卒でも学生に近い視点で仕事ができる強みをアピールできれば、採用に不利になることはないと思います。
既卒(第2新卒・中途採用)が多い印象
私の環境が特別かもしれませんが、民間企業を経験した既卒者・第2新卒者を積極的に採用しているイメージがあります。
私の考えでは、大学職員には「育てる」という文化がなく、採用された段階から自立して仕事ができる人が求められているのだと思います。
職員教育と「パワハラ」や「アカハラ(アカデミック・ハラスメント)」は近くにあり、ハラスメントに敏感な大学関係者だからこそ、手の行き届いた教育が出来ていないのではないかと思います。
(手厚い教育・昔ながらの指導は「強制・嫌がらせ」と捉えられることも多いです。)
年齢の目安は30歳くらいまで
既卒の採用に積極的とはいえ、30歳が一つの目安になります。30歳までであれば、採用してもらえる可能性は高いです。
国立大学はいまだに公務員試験と同様に年齢基準を儲けています。
それが確か30歳くらいまでなので、それに近い形で国立大学・私立大学も運用されているということでしょう(もちろん、新卒しかとらない大学もありますので、自分が行きたい大学の傾向をチェックするのが確実です。)

大学職員と学歴や資格
就職と学歴や資格の関係についてはいろいろ意見がありますが、大学職員にとっては学歴も資格もあったほうが有利になります。
大学職員は高学歴な人が多い
大学職員として出世する人は「先生や学生のために」着実に仕事ができる人です。
大学職員として出世した部長や課長が面接官になるわけですから、真面目で保守的な人が多いです。
保守的な人は学歴を重視する傾向があります。
学歴は「頑張ってきた証」になりますし、採用する際の「保険」という考え方もあります。(早稲田を出ているから問題ないだろう。という考え)
一方で仕事ができるのは比較的、低学歴な人が多いです。おそらく反骨心で一生懸命仕事をしているからでしょう。
コミュニケーション不足を感じている管理職は多いので、学歴が低くても「コミュ力」でアピールするのもありだと思います。

資格:特に英語・中国語は有利
少子高齢化で大学生世代の人口が減っています。
多くの大学は「グローバルな大学」を目指して留学生の受け入れに力を入れています。そこで、すでにTOEICで高得点をとっている、中国語が喋れるというのは大きなアピールポイントです。
大学内でも頻繁に語学研修が行われています。
語学力は「学務系」の仕事で有利になりますが、簿記など会計系の仕事も有利になります。
主な分野は「学務・会計・総務」ですから、どれかに使える資格があると強いです。

大学職員になるためのエントリーシートや志望動機
採用のためにはあまり奇をてらった書類にしないことが大事だと思います。
エントリーシート(ES)・履歴書
民間企業のエントリーシートは「目立つ」ことが重視されます。
他の人が書けないエピソードを書いたり、目を引くキャッチフレーズを入れたりすることが多いですが、超有名私立大学への受験以外は不要だと思います。
大学職員の仕事は教員のサポート。目立たず、ミスをせず、確実に仕事を行うのが大事です。
そんな適正がわかるように、「きれいな字で」「わかりやすく」書くことが大事です。
あとは大学のことを調べた内容を盛り込むなど、真摯な部分を見せる。ということですね。

志望動機
志望動機も一般的なことで十分です。「学生のためにサポートをしたい」「先生が研究に専念できる環境を整え、社会貢献の手助けがしたい」だいたいこんなところです。
ポイントは実際の面接の時に、しっかり調べた情報を盛り込むことです。
- ホームページに載っている最新のトピックスに触れる。
- 大学のビジョンや計画を読み込み、自身の見解を述べる。
- 「学生支援」以外の視点で大学職員としての仕事を捉える。
特に、「大学職員の仕事」=「学生サポート」と思っている人があまりに多いので、面接官は聞き飽きています。
「学生支援」以外のことを話すようにするといいと思います。
大学職員採用のための勉強法、筆記試験
筆記試験の勉強法は国公立大学と私立大学で異なります。
国公立大学の筆記試験
国公立大学の筆記試験は公務員試験と似た範囲が出題されます。市役所など公務員の併願先として、国立大学を受験する人も多いです。
公務員試験の勉強法の本がたくさん出ていますので、そちらに準じて勉強するといいと思います。
国立大学筆記試験用のテキストはあまり多くないと思います。
最低限、数ヶ月の勉強が必要だと思います。
私立大学の筆記試験
私立大学はSPIのような、常識問題だけの筆記試験も多いです。
受ける大学の傾向を見て対策するといいでしょう。筆記試験での突破率が高いということは面接での倍率が高くなるということなので、面接対策に時間を使ったほうがいいです。
大学職員採用のための面接対策
一部の人気私立大学を除けば、面接での倍率はそこまで高くありません。忠実に相手が求めることに応えられるようにしましょう。
面接でのポイント
基本は一般企業の面接と一緒ですね。「一緒に働きたい」と思ってもらえるように、笑顔でハキハキと話をしましょう。

ポイントは事前に大学のことを調べて、それを元に考えを話すということですね。
大学ホームページだけでも様々な情報が載っています。公的機関なので情報は取り放題です。
その中から、大学が抱えている課題とそれを自分の強みでどう解決していくかを話せれば説得力があります。
逆質問があったら?
様々な仕事に使えるのは「ゼネラリストになるべきか?スペシャリストになるべきか?」という質問を自分の意見とともに聞くことだと思います。
「ゼネラリスト」は「なんでもや」のことです。「スペシャリスト」は「専門家」。
仕事をする上で、特定の分野の専門家になるべきか。浅く広くなんでも知っている人になるか。
これは仕事をしていく上で一つのテーマになるはずです。
もしくは、「公的機関の収益化についての考え」を聞くことでしょうか。
就職活動、転職活動の参考になれば幸いです。