大学職員の仕事のやりがい・魅力は?現役職員に聞いた事務職のやりがい
大学職員は、やりがいのない仕事だと感じている人が多くいます。
実際に、大学職員として7年以上働いている筆者もあまり「やりがい」を感じられていません。
しかし、同僚や先輩に話を聞いてみると、やりがいを感じて仕事をしている人が多くいることがわかりました。
- 大学職員の仕事は裁量が小さいため、やりがいがないと感じる人が多い
- 先輩に聞いた大学職員として、やりがいを感じた瞬間を紹介
- やりがいは思い込みでいい!という意見もある
本記事では、「やりがいを感じにくい理由」と「現役職員がやりがいを感じた瞬間」を紹介します。
大学職員の仕事に「やりがい」がない理由
大学職員の仕事は、やりがいを感じにくい仕事だと思います。やりがいがないと言われるのは、大学職員の仕事が裁量の小さいマニュアルに従った仕事だからです。
仕事内容は公務員に近く、法律や規則に従って仕事を行うことが求められます。公的な仕事は税金が源泉となっているので、「特例」は許されません。
全国民に平等の基準で業務を行わなければならず、仕事に「個性」や「職員のやりがい」は求められません。
大学職員も同じで、全学生・全教員に同じ対応が求められます。成績判定や入試判定などは、特に差別があっては困るものですね。
職責を全うしようと考えれば、「やりがい」を感じる必要はないとも言えるでしょう。
現役大学職員に聞いたやりがいを感じる瞬間
実際に仕事をしている職員には、やりがい・魅力を感じていきいきと仕事をしている職員も多いです。
実際に、筆者が先輩や同僚に聞いた「やりがいを感じる瞬間」を紹介します。
【現役職員に聞いたやりがいを感じた瞬間】
- 学生から感謝された時
- 関わったイベントが成功した時
- 職員の役に立つツールを作成した時
学生から感謝された時
医学部の学務係で働いていた先輩の話です。
学生が医師の国家試験に合格した報告をしてくれた時は「やりがい」を感じたね。
国家試験の前年までは、部活を頑張っていて、よく体育館利用の書類を申請しに来ていたので、顔見知りになっていた。学内のコンビニでも挨拶してくれて、たまにお菓子を差し入れたりもしていた。
「受かりました〜」って事務室に来た時は、嬉しかったね。お医者さんとして俺の倍以上稼いでいるだろうな笑
関わった学生や教員から感謝されるのは、やはり嬉しいですね。若い学生さんの人生に携われるのは、「やりがい」に繋がります。
実際には、教員が学生から感謝されることはあっても、事務職員が学生から感謝されることはあまりないかもしれません。
イベントが成功した時
シンポジウム開催をサポートした同僚の話です。
大学内で先生がシンポジウムを開催することになり、広報など運営の手伝いをすることになった。
教室の確保や関連教員へのアポイントなど、半年前から準備を進めていった。前例のないことだったから、自分で考えてホームページでの広報やメーリングリストでの配信を行った。
結果としては、想定以上の集客ができて、先生との絆も強固になった。大変だったけど、やってよかった。
チームで協力して1つのことをやり遂げるのは、「やりがい」があります。
「やりがい」をもとめて仕事をするのであれば、チームで行うプロジェクトなどに手を上げるのもいいでしょう。
職員の役に立つツールを作成した時
大学本部で給与関係業務を担当していた先輩の話です。
大学の給与関係の仕事は、定型的な仕事が多く、年末調整の時期や月初めは忙しくなるけど、その他の時期は仕事が少なく残業なしで帰れる。
時間がある時期に、エクセルに計算式を入れて、誰でも使える保険料計算のツールを開発した。
大学内では時短になるということで好評になった。それを聞いた上司が評価してくれて、やってよかったと思った。
暇な時間に、職員に必要なツールを作成した「できる先輩」の例です。このように、自らやりがいを作っていくこともできます。仕事ぶりは上司にも届くものです。
大学職員の感じているやりがい・魅力
大学職員がやりがい・魅力を感じる瞬間を各大学のホームページから集めてみました。
埼玉大学:学生支援担当
学生と接する部署では、大学1年生と4年生の違いを大きく感じます。大学に入学したての大学1年生と、社会人として巣立っていく大学4年生とを見ると、4年間の学びは大きいのだなと改めて思います。卒業式を迎えた4年生には心から「おめでとう!」の気持ちになり、大学職員として学生の4年間を支えているのだなと強く認識できます。
埼玉大学:建設担当
国際学生寮の建設を担当したことです。限られたリソースの中でいかにより良いものを作るか、現場や日本人学生・留学生の声を聞きながら上層部・関係教職員・業者と打ち合わせを重ね、仕様を考えました。当時は残業も多く忙しい日々でしたが、自らも含め様々な立場の関係者が意見を出し合い一つの形を作っていくことは非常にやりがいがありました。
同志社大学:文学部教務担当
私が所属する文学部は約3,000人の学生が在籍しています。科目登録や定期試験の準備などを通じて、それだけ多くの学生の学びを支えられることはやりがいの一つです。
東京女子大学:人事担当
採用時や新任研修など各部署に配属される前から職員一人ひとりに関わる機会が多いため、新任職員が業務や研修を通して成長していく姿を見るととても嬉しく思います。
人事課は、窓口で学生の対応をすることが少ない部署のため、皆さんがイメージする大学職員とは少し異なるかもしれません。私も新卒採用で人事課に配属された時には驚いたものの、若い内から大学の運営部門に直接関わることができたという経験は大きく、今では組織の要である「人」に関わる仕事にやりがいと面白さを感じています。教職員一人ひとりが持つ力を最大限発揮してもらえるような職場環境を整えることが人事課の役目です。その仕事が未来を担う学生や社会へと還元されていくことが、大学の人事課ならではのやりがいであると感じています。
大学職員のやりがいは思い込みでいい
感謝や小さな貢献感を敏感に感じ取れる人にとっては大学職員の仕事でも「やりがい」があると感じられるでしょう。
ただ、企画開発職やマーケティング職の仕事に比べると自分で売上・サービスを作った「やりがい」がないと感じるのは普通だと思います。
やりがいを感じるべきは「教員」であり、達成感を感じるべきも「教員や学生」です。大学職員は「やりがい」を見つけてもらえるようにサポートするのが仕事だと考えることもできます。
筆者は、「やりがいがない」ことを文部科学省の官僚の方に相談したことがあります(仕事の関係で話をする機会がありました)。
その時の官僚の方の話が非常に共感できるものでした。
確かに、大学職員の仕事は直接的な成果をあげられず、やりがいを感じにくい。
だけど、「将来、国民の生活の豊かさに貢献できている」と信じるしかない。それを「やりがい」にする。思い込むのがいいと思う。
大学に関係する人は日本の将来を変える可能性のある人がたくさんいる。
教授の研究成果が世の中を便利にすることがあるし、卒業した学生が就職して社会を変えるような働きをするかもしれない。
それを信じて「国民の豊かさに貢献するはず」だと思い込んで、業務に取り組むのがいいんじゃないかな。
この言葉に影響を受けて、大学に関わった人たちが活躍できることを「信じて」、全力でサポートするのが大学職員の仕事の「やりがい」だと僕は思っています。
まとめ:大学職員にも「やりがい」はある
一般的には、「やりがい」を感じづらい大学職員の仕事でも、やりがいを見出すことができます。事務職という定型的な仕事にも、やりがいを感じて仕事をしている人も多いです。
一方で、やりがいを見つけられなくても悩むことはありません。
「やりがい」なんてないけど、家族のために必要なことをやるという考えの、割り切った仕事のできる同僚もいます。
やりがいの考え方は様々ですが、大学職員は福利厚生も整っていて、オススメの仕事です。
大学職員への転職を検討している人は転職サイトの登録から始めましょう。
転職サイトの登録は、マイナビ転職・リクナビNEXT・リクルートエージェント・dodaの4社がおすすめです。以下の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。
また、現在大学職員として勤務していて「やりがいがなく」悩んでいる方もいるかもしれません。
大学職員を辞めて別の業界で活躍している方もいるので、以下の記事を読んでいただければと思います。