大学職員は高倍率?就職難易度ランキングと私立・国立の違い
大学職員の採用倍率は100倍を超えることもあり、人気の職業と言われます。
実際には、国立大学と私立大学や地域ごとに差があり、国立大学で30倍程度、私立大学では20~100倍を超えることもあります。
- 国立大学は倍率30倍程度、筆記試験のボーダーを超えれば難しくない
- 私立大学は倍率100倍以上も。本気の大学業界研究で差をつける必要がある
- 大学職員の倍率の高さにビビる必要はない
倍率だけを聞くと、選考に進むのを躊躇してしまう方もいるかもしれません。
しかし、倍率ほど採用は難しくはないと考えています。現役大学職員の筆者が大学職員の倍率や難易度ランキングを紹介していきます。
私立大学職員の倍率・難易度ランキング
私立大学職員の倍率
私立大学職員は採用数が少なく採用倍率が20~50倍は普通で、有名大学では100倍になることもあります。
採用倍率は高いですが、人気企業ランキングに名を連ねるような商社・大手通信・メーカーなどとは規模が異なります。
- 大手企業は採用数が100名に1万人以上が受験という規模
- 私立大学は採用数が5名に500名以上が受験という規模
受験者数は人気企業に比べると少ないですが、採用数が少ないため狭き門です。
参考に関西大学の事務職員採用倍率は以下の通りとなっています。
応募者 | 採用者 | 倍率 | |
2021年度 | 436 | 19 | 22.9 |
2020年度 | 535 | 17 | 31.4 |
2019年度 | 625 | 16 | 39.0 |
2018年度 | 776 | 18 | 43.1 |
2017年度 | 492 | 6 | 82 |
近年では50倍には届かないものの高倍率となっています。関東の有名大学であれば、さらに倍率は高いと言えるでしょう(採用倍率を公表している大学は少ないです)。
新卒も中途採用も、採用数が少ないため、試験内容は難しくありませんが、周りのレベルが高いため、選考を突破するのは難しいです。
また、国立大学より採用倍率が高いのは受験のハードルが低いからだとも言えます。
国立大学の筆記試験が公務員試験に近い教養試験なのに対し、私立大学ではSPIなど民間企業に近い筆記試験が用いられることが多いです。
教養試験の勉強が不要なため、安易な考えで私立大学にエントリーする人もいます。
私立大学職員の難易度ランキング
Sランク | 上智大学・立教大学・学習院大学・同志社大学など |
Aランク | 早稲田大学・法政大学・東洋大学・近畿大学など |
Bランク | 立正大学・亜細亜大学・大東文化大学・甲南大学など |
Cランク | 大妻女子大学・千葉経済大学・大阪教育大学など |
※インタビュー等に基づく筆者の独自の基準です。
- Sランク・・・有名大学で、比較的規模の小さな大学は採用数が少なく高倍率
- Aランク・・・附属校などを多く持つ大学は、採用数が多いため倍率は下がる
- Bランク・・・中堅大学は有名大学に比べると倍率は下がるが、年収は高いことが多く穴場
- Cランク・・・女子大、単科大などは就活生から敬遠されるため倍率は低め
各大学を細かくランキングするのは難しいと考え、私立大学を4つのランクに分けました。
就職・転職の難易度を考えると、以下のような序列になります。
小規模有名大学>大規模有名大学>首都圏その他大学>地方大学、女子大学、単科大学
難易度は上記のようになりますが、年収が高い女子大学・単科大学もあるため、必ずしも難易度と年収は比例しません。
また、上記のランキングは全ての大学に言えるわけではなく、おおよその基準としてご理解下さい。
私立大学への転職におすすめの転職サイト・転職エージェントは以下の記事で紹介しています。
求人掲載が多いのはマイナビ転職・リクナビNEXT・dodaの3社です。
国立大学職員の倍率・難易度
国立大学は私立大学に比べると採用倍率・難易度は低めです。
国立大学正規職員の採用試験は統一採用試験と独自採用試験があります。
- 統一採用試験・・・地域ごとに共通の筆記試験が行われ、合格者のみ大学の面接試験に進める
- 独自採用試験・・・共通の筆記試験を行わず、大学独自の試験が行われる
統一採用試験では、教養科目の筆記試験の後、各大学で面接試験が行われます。
独自採用試験はさまざまな方式がありますが、職歴や面接試験の結果が重視される傾向があります。
数年前までは統一採用試験が原則でしたが、近年では独自採用試験の採用枠を増やしている大学も多いです。
東京大学では令和6年度の事務職員の採用予定者を「独自採用試験:60名程度」「統一採用試験:15名程度」としています。
どちらの採用試験で受験するにせよ、面接と事前の情報収集は必須なので以下の「公務員転職ハンドブック」をもらっておくことをおすすめします。
「公務員転職ハンドブック」は、資格試験予備校のクレアールに資料請求することでもらうことができます。
公的機関の事務職採用ということで、公務員と国立大学職員の採用基準は似通っており、参考になります。
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筆記試験の倍率・難易度・ボーダー
令和5年度の関東甲信越地区国立大学法人等職員採用試験の筆記試験結果は以下のとおりです。
事務の最新の筆記試験倍率は2.3倍となっています。
過去を遡ると2.6倍~8.0倍で推移していて、年々倍率が低くなっていることがわかります。
受験者数 | 合格者数 | 倍率 | |
令和4年度 | 5122 | 1981 | 2.6 |
令和3年度 | 5449 | 1788 | 3.0 |
令和2年度 | 5748 | 1505 | 3.8 |
平成31年度 | 6073 | 1401 | 4.3 |
平成30年度 | 9949※ | 1369 | 7.3 |
平成29年度 | 10877※ | 1366 | 8.0 |
「※」は申込者数
平成31年度から倍率が大きく下がったのは、その年度から受験者数を母数とするようになったためです(それ以前は申込者数を母数としていたため、3,000~4,000人減っています)。
公表データの変化はあるにせよ、一貫して受験者数は減り、合格者数は増えている状況です。
今後も筆記試験の倍率は2~4倍程度に落ち着くと考えられます。
半分以上は筆記試験で不合格となるので、決して簡単ではありませんが、半年以上勉強すれば筆記試験の合格は見えてくるでしょう。
合格のボーダーは6~7割の正答率と言われています。勉強方法などは以下の記事で紹介しています。
面接試験の倍率・難易度
令和5年度の関東国立大学の試験では第1次試験の合格者が1930名です。
この合格者が、各国立大学の面接試験にチャレンジすることになります。
採用枠は多い大学で10名程度、多くの大学では5名以下です。
事務の採用枠だけでいえば100より少ないため、1981名の合格者で割ると面接での採用倍率が20倍程度になるように見えます。
しかし、採用数の2倍以上の内定が出されると考えていいでしょう。
なぜなら、国立大学は国家公務員・地方公務員・他大学との併願者が多く、内定辞退者が多いからです。
また、志望度の高い企業で内定が出ていれば、筆記試験に合格しても面接試験を受けません。
そう考えると、実際の国立大学の統一採用試験の面接倍率は10倍程度になると考えています。
実際に筆者が聞いた、ある大学の統一採用試験の内定数はおおよそ以下の数字だったそうです。
項目 | 受験者数 | 次の選考への倍率 |
一次面接受験者 | 150名 | 約2倍 |
二次面接受験者 | 70名 | 約2倍 |
最終面接受験者 | 35名 | 約3倍 |
内定者数 | 12名 | |
採用者数 | 6名 |
一次試験の面接官を担当する先輩は、「受験者の半分くらいは信じられないくらいコミュニケーションがとれない学生」だと話していました。
筆記試験に合格してコミュニケーションが取れれば、倍率は5倍程度だと思います。
あとは志望動機や自己PRを魅力的なものに仕上げるだけです。
受かりやすい国立大学法人の穴場や難易度ランキングは以下の記事で紹介しています。
続いて、統一の筆記試験を要さない独自採用試験のおおよその倍率も紹介します。
項目 | 受験者数 | 次の選考への倍率 |
書類選考応募者 | 400名 | 約8倍 |
一次面接受験者 | 50名 | 約3倍 |
最終面接受験者 | 15名 | 約2倍 |
内定者数 | 7名 | |
採用者数 | 6名 |
筆記試験がない分、書類選考で多くの受験者が落とされます。
倍率が高い独自採用試験に合格するコツは以下の記事で紹介しています。
大学職員の倍率の高さは気にしなくていい
大学職員は国立も私立も見かけの倍率は高いですが、それほど難易度が高いと感じる必要はありません。
倍率が高くても気にしなくていい理由は以下のとおりです。
- 大学職員がホワイトな職場だと知られ、受験者が増えている
- 併願・記念受験が多い
- 本気で業界研究している人は少ない
受験者が増えている
就活生の中には、人気企業ランキングに入るような有名企業を目指すのではなく、待遇の良いホワイト企業を選ぶ学生も増えています。
事務職や大学職員がホワイトな職場と紹介されていることも多いため、受験者が増えています。
もちろん受験者の増加によって、難易度は上がりますが、倍率だけにビビる必要はありません。
併願・記念受験が多い
国立大学も私立大学も併願先としての受験が多く、第一志望にしている人が少ないという傾向があります。
- 国立大学・・・国家公務員や同地域の地方公務員
- 私立大学・・・他の私立大学や人気民間企業
大学職員に内定しても他の大学や公務員、民間企業に就職する就活生が多くいます。
有名大学でも、国家公務員や海外勤務ができる一流企業に比べると見劣りしてしまうのでしょう。
また、母校だからという理由で記念受験する学生もいます。
関連記事:大学職員と公務員どっちがいい?転職・併願の事例を解説
本気で業界研究している人は少ない
受験者は増えていますが、併願者が多いため、本気度が高い就職・転職者は少ないです。
商社志望や銀行志望であれば、何人もOB訪問を行ったり、部活の先輩のツテを使ったりと様々な方法で情報収集を行っているツワモノがいます。
一方大学職員では、複数の大学職員に訪問したり本で情報収集したりして、比較するといった調べ方をしている人を筆者は知りません。
本気で業界研究を進めれば、倍率の高さに関係なく、内定を勝ち取ることができるでしょう。
大学業界の情報収集には、国立大学法人試験攻略ブックがオススメです。
まとめ:大学職員の倍率は高いがチャンスはある
国立大学職員・私立大学職員の採用倍率について紹介しました。
どちらも採用倍率は高いですが、どちらもまだまだ穴場のホワイト業界と言えます。
- 国立大学・・・筆記試験はボーダーがあるが、面接試験が苦手な人も多く、ライバルは強くない。独自採用試験も増えている
- 私立大学・・・本気で企業研究・業界研究している人は少ない
本気で取り組めば、誰でも内定が狙えるのが大学職員です。
是非挑戦してみてください。
まずは、マイナビ転職・リクナビNEXT・dodaの3社に登録して情報収集を進めるのがいいでしょう。
なかなか内定までたどり着かないという場合は、契約社員から正社員になるのを目指すのもありですよ。