大学職員はやめとけ?民間企業から転職して思うメリット・デメリット

「大学職員はやめとけ!」と言われることがありますが、民間企業から転職した筆者にとって、大学職員はとてもいい職場です。
実際に、国立大学職員として5年間以上勤務していますが、辞めようと思ったことはありません。
現役大学職員の筆者が考える、大学職員の仕事のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 緊急対応が少なく、仕事が楽
- 異動が少なく、安定している
- やばい上司が少ない
- 将来性が見込めない
- スキルが身につかない
- 年功序列の評価制度
本記事では、実際に大学職員に転職して感じた「大学職員はやめとけ」と言われる理由、メリット・デメリットを解説していきます。
「将来性」や「スキルを身につける」という点では、「やめとけ」と言われる理由もわかります。

大学職員のデメリット:将来性がなく、スキルもつかない

大学職員は人気の職業ですが、「やめとけ」という情報も多いです。実際に、働いていて感じる大学職員のデメリットは以下の3つです。
- 将来性が見込めない
- スキルが身につかない
- 年功序列の評価制度
将来性が見込めない環境
大学業界は、これから成長していく業界ではなく、成熟しきっていて衰退に向かう業界ということができます。様々な理由があります。
- 少子高齢化で18歳人口が減少している
- 日本では、社会人の大学入学が浸透していない
- 国力低下・感染症の影響等により、外国人留学生も減少傾向
- 優秀な研究者が多く退職している
大学業界の話ですが、明るいニュースはほとんどありません。
働く場所としての「大学」は非常に福利厚生・待遇が良い場所でした。大学教授は年収が高く、自分のやりたい研究ができる満足度が高い仕事として上位にランキングされています。
しかし、近年では大学教授を退職し、民間の研究機関や海外の大学に転職する人も多いです。最先端の研究環境を求めると、研究費が減り続ける日本の大学に籍を置き続けるべきではないと優秀な研究者は考えています。
大学のセールスポイントである「研究力・教育力」が衰退すれば、大学の受験者数や収益も低下します。
首都圏の私立大学や国立大学に大きな影響が出てくるのはまだ時間がかかると思いますが、将来性が危うい「斜陽産業」ということは理解しておいたほうがいいでしょう。
スキルが身につかない職場環境
大学職員はスキルが身につきづらい仕事です。事務職員の仕事はマニュアルに沿った仕事で「総務・人事」「財務・会計」「学務・教務」のいずれかの配属が8割以上です。
それぞれの分野で多少の専門性はありますが、転職市場でアピールできるほどの専門性ではありません。
優秀なビジネスパーソンは、他社でも使える専門性を身に着けて、スキルアップしていきますが、大学の事務職員には難しいです。
- 総務・人事・・・大学内の人事規程に詳しくなるだけ
- 財務・会計・・・簿記知識、経理知識はつくが大学の業務に限定した知識のみ
- 学務・教務・・・語学力などはつきますが、ビジネススキルとはいえない
公的機関という性質から、利益をあげるためのスキルは付きづらいです。優秀な若者には、「無難な事務職はやめて、世界で通じるような能力をつけてほしい」と思う気持ちはわかります。
「営業力」「マーケティング力」「技術力」などのスキルをつけたい方は、大学職員はやめておいたほうがいいでしょう。
実際に、大学職員の退職事例・理由は以下の記事で紹介しています。

年功序列の評価制度
大学の多くが旧来からの「年功序列の評価制度」を採り入れています。
優秀な職員が出世していくのではなく、年齢・経験に応じて給与が決まるケースが多いです。
優秀で意欲のある職員にとっては「割に合わない仕事」と感じることが多いでしょう。
特に、国立大学職員は国家公務員の給与体系を踏襲しており、実績で評価されることはほとんどありません。
50歳を過ぎたパソコンをまともに使えない窓際職員が、自分の倍近い給料をもらっているということもあるでしょう。

大学職員のメリット:仕事が楽で安定している

民間企業から転職した筆者にとっては、大学職員はメリットが大きい仕事だと感じています。具体的には、次の3点が挙げられます。
- 緊急対応が少なく、仕事が楽
- 異動が少なく、安定している
- 人間関係の不満が少ない
緊急対応が少なく、仕事が楽
大学職員は、「仕事が楽」な部類の仕事だと考えています。
緊急対応で残業を強いられることはほとんどなく、年次有給休暇を取得している時に電話が来たことも一度もありません。
売上が伸びたときには、お客さんを待たせないように残業をしないといけません。
また、平日に年休をとっていると、3日に1回位は電話がかかってきて、担当のお客さんに自宅から折返しの電話をしていました。
もちろん、入試・オープンキャンパス等で休日出勤や残業をする時もありますが、基本的には個人の裁量で業務をコントロールできるので、楽だと感じます。
民間企業では仕事に忙殺されて、死んだ目をした人を多く見てきましたが、大学職員の大変さは常識的な範囲のものだと感じます。
異動が少なく、職場の安定性が高い
大学職員は、異動が少なく、給料も平均以上で安定している仕事です。
配属先が限られており、業務内容もほとんど変わらないので、ワークライフランスを重視したい人にもオススメできます。
給与面に関しても、国立・公立・私立ともに安定した給与・昇給が期待できます。
3年に1回は部署異動があり、県を跨いだ転勤も頻繁に行われていました。
出世するためには、平均以上の営業成績が必要で、成績が悪いと給与が30代に頭打ちになってしまいます。
営業成績をあまり気にせず、安定した環境で働きたい方にはオススメできる仕事です。
人間関係に不満を感じることが少ない
大学職員に「パワハラ」をする人はほとんどいません。嫌な上司が少なく、ハラスメントがほとんどないのは、次の理由からです。
- 目標売上等がないため、詰められることがない
- チームで仕事をすることがほとんどない
- ハラスメント相談窓口が整備されている
「上司の言うことは絶対」という雰囲気でした。
仕事で恫喝されることはしばしばあり、休日のバーベキューも断ることができず、こき使われる始末。嫌な上司にあたると、仕事が好きでも長く勤めるのは難しいと感じてしまいました。
30人程度の支店でも、毎年3人は退職していました。
職場の人間関係に問題を感じて退職する人も多いですが、大学職員は離職率が非常に低いです。筆者は5年以上大学で勤めていますが、20人以上いる同期は1人も辞めていません。
まとめ:大学職員に将来性・スキルは期待できない
大学職員の仕事のメリット・デメリットについて紹介してきました。
将来性や習得できるスキルを考えると「やめとけ!」という意見にも納得できます。スキルをつけて、将来性のある業界で働きたいと考えている人には大学職員の仕事は向いていません。

一方で、民間企業から転職した筆者にとっては、非常に心地のいい職場です。
- ノルマがなく、仕事が比較的楽
- 頑張りすぎないでも給与が上がる安定した仕事
- 体調を崩すような、パワハラ上司がいない
ある程度、仕事内容について割り切って考えることができれば非常にいい仕事です。
「やりがい」だけが仕事に求めることではないと思いますので、仕事に重視することが「安定」「楽な仕事」という人は是非、大学職員への転職も検討してみるといいでしょう。

